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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
我々は研究計画調書で述べた当初の研究計画をほゞ達成することが出来た.即ち,一次元量子スピン系の物性,特にその電子相関と磁性の関りを本研究の中心課題として,これら一次元量子スピン系の新物質開発と良質単結晶の育成およびその精密測定を行い,以下のような成果を得ることが出来た. 1)新しい一次元磁性体Cu_2V_2O_7, NiSb_2O_6を見いだした.Cu_2V_2O_7については現実に僅かばかり存在すると思われる三次元性から反強磁性相関を示し,且つ,ジャロシンスキー-守谷型の相互作用によるとみられる弱強磁性(T_C=36K)を観測している.一方,トリルチル型構造のNiSb_2O_6についたは良好な一次元的磁気相関の現れであるボナ--フィッシャー型の磁化温度曲線(ピーク温度〜80K)が得られている.これらのより詳細な磁気的性質について解明するため,現在単結晶試料を作成し種々の測定を準備中である. 2)無機系では初めてのスピンパイエルス物質であるCuGeO_3に関して,大型単結晶を用いた各種測定に引き続き,そのGeサイトにSiをドープすることにで,スピンパイエルス系の磁気的変化を調べた.このドープされたCu (Ge_<1-x>Si_x) O_3についても単結晶育成に成功し,中性子散乱を中心とした解析から,特に1%程度以上のSiのド-ピングに対して反強磁性が安定化することを発見し,その磁気相図を作製することが出来た. 3)新しいラダー(梯子格子)系物質,Sr_<14>Cu_<24>O_<41+δ>に対してCa, Co等のド-ピングを行い,又,高酸素圧処理による酸素量の制御を試みた結果,ラダー系における金属-絶縁体転移を観測した.更に,この系の単結晶を作成し現在,中性子散乱,NMR測定を続行中である.一方,これとは異なるラダー系としてLaCuO_<2.5>を取り挙げ,μSR測定を中心に研究を進めているが,この系ではスピンギャップが存在せず,T_N〜120Kの反強磁性状態と思われる長距離磁気秩序を観測している.
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