鎖状イミドの不斉結晶の光反応解析と絶対不斉合成反応
Project/Area Number |
07804039
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 昌巳 千葉大学, 工学部, 助教授 (00178576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 力 千葉大学, 工学部, 助教授 (70009538)
渡辺 昭次 千葉大学, 工学部, 教授 (60009222)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 不斉結晶 / 光反応 / 鎖状イミド / 絶対不斉合成 / オキセタン / X線結晶構造解析 / トポケミカル / アキラル |
Research Abstract |
本研究は、結晶状態での特性を利用した光反応の解析を目的とした。結晶中の分子はトポケミカル則に従って反応するため、溶液中とは異なる反応様式を示す。その中で最も特徴的な現象は、アキラルな基質の形成する不斉結晶のキラリティーのみを不斉源として利用する絶対不斉合成である。我々はイミド側鎖にアルケニル基を有する種々のアキラルな酸イミドを合成し、X線構造解析により結晶中での分子構造や結晶構造を明らかにした。さらに、それらの光反応を解析し、以下に示す事実を明らかにした。 1. アルケニル部位及び窒素原子上の置換基を種々変化させ、10種類の鎖状イミドを合成した。溶液中及び固相状態での光反応を検討したところ、溶液中では全て効率よく反応し分子内2+2付加反応によりオキセタンが生成するのに対し、固相では、6種類の基質が光反応に活性であった。本研究費で購入したFT-IRを用いて構造解析や反応の追跡を行った。 2. 単結晶の得られた基質のX線結晶構造解析により、イミド部位が(E,E)配座の基質は反応部位(カルボニルとアルケン)が接近して(2.8-3.1Å)ほぼ並行に配置されているのに対し、反応に不活性な分子のイミドは(E,Z)配座を呈しており、反応部位は4Å以上の距離に置かれていた。配座は置換基によりほぼ関連性があり、分子内でのC-H-π相互作用がその配座を決定する大きな要因の一つである。(E,Z)配座はオキセタン形成に適さない原子配置であるが、固相中でだけアルケンによる水素引き抜き反応が新たに観測された。 3. 鎖上イミドの中で3種類の基質が不斉結晶を形成することを見出した。光学活性なオキセタンの光学純度を決定し、低い転化率と低温での反応により高い光学純度の生成物が得られた。 4. 得られた光学活性オキセタンのカルボニル基をチオカルボニル基に換え、X線の異常分散法を用いて絶対構造を決定することで、アキラルなイミド螺旋の絶対構造を決定した。 5. イミド側鎖にチオフェニル基を導入した基質についても同様に検討し新たにビラジカルを経由する絶対不斉合成例を見出すことができた。 本研究により、外的な不斉源を全く用いず結晶のキラリティーだけを不斉源とする絶対不斉合成の新しい例が見出され、その一般性と不斉合成の分野での有用性が明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)