大腸菌糖資化能のメタボリックエンジニアリングによる外来遺伝子産物生産用宿主の開発
Project/Area Number |
07805073
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物・生体工学
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
早出 広司 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10187883)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 大腸菌 / ピロロキノリンキノン / グルコース脱水素酵素 / メタボリックエンジニアリング / 糖代謝 / PQQ生合成 / 熱安定性 |
Research Abstract |
本研究は大腸菌における糖代謝機能をメタボリックエンジニアリングにより改良を行うことを目的として、その中核となる分子としてピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素に有するグルコース脱水素酵素(PQQGDH)に着目した。PQQGDHを大腸菌で高発現させた株の糖資化能力に関して、呼吸活性を指標として検討した。その結果、PQQGDHを高発現させた大腸菌においてグルコースに対する最大呼吸活性の増加が確認され、また見かけのKm値が大きくなることが明かとなった。さらに、PQQGDH高発現により大腸菌の糖依存性呼吸活性の基質特異性が大幅に改変された。すなわち、通常の大腸菌においてはほとんど糖依存性の呼吸活性を示さないキシロースやガラクトースに対して、PQQGDHを高発現させた株では、グルコースと同等の呼吸活性を示すことが明かとなった。これらは通常大腸菌において主な糖資化能を支配し、グルコースに対して低いKm値を示すPTS系による糖の輸送系にかわって、基質特異性の広いPQQGDHによる糖酸化が支配的になったためと考えられた。この結果は大腸菌の糖の資化スペクトルがPQQGDH高発現により拡張されたことを示唆している。一方、補酵素と結合していないアポ型のPQQGDHの熱安定性がきわめて低いことを見いだした。キメラ酵素描築法により高い熱安定性を有するPQQGDHも本研究室により開発されているが、培養中の失活を防ぐには至っていない。大腸菌はPQQを合成する能力がないことから、ホロ型PQQGDHを培養中に形成させることを目的として、外来のPQQ生合成遺伝子群、pqqオペロンを発現させ、PQQ生合成を可能としたメタボリックエンジニアリング大腸菌を構築し、ここでのPQQGDH高発現を試みた。その結果、ホロ型酵素の熱安定性が優れていることに起因し、大腸菌内においてこれまでの10倍以上のPQQGDHの活性を保持させることに成功した。このことにより、さらに大幅に糖資化能力が改変された大腸菌が構築できたものと考えられた。以上のように、本研究では、大腸菌のPQQGDHを高発現させることにより、糖資化能力を大幅に改変することが可能であることを示すことができ、今後の大腸菌を基本とした物質生産において重要な基礎的知見を提供できたものと確信している。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)