Research Abstract |
従来の我々の検索成績から再生不良性貧血(AA)・骨髄異形成症候群(MDS)の一部にEPO(エリスロポエチン)による治療効果が認めれれているが,有効症例を使用前に予測する指標は見出し得なかった。そこで本研究は,その指標を求めることに主眼を置いた萌芽的研究を行った.その結果を報告する.解析の主な対象としたのは,主宰した全国109施設でのAA・MDSに対する治験成績である。EPOの効果は,非投与群,200U/kg週3回皮注群,400U/kg,週3回皮下注群の3群にわけて12週間での治療効果を検討した.有効性の判定は、非輸血例についてはHb1.0g/dl以上の上昇,輸血例については,必要輸血量の50%以上の減少を有効とした。AAについては,有効率は非投与群12.9%(4/31例),200U群14.6%(9/41例),400U群36.8%(9/38例)となり,非投与群と400U群,200U群と400U投与群の間に有意差を認めた.WDSについては,非投与群25.0%(4/16例),200U群45.0%(9/20例),400U群39.1%(9・23例)となったが統計的には有意差を認め得なかった.AAについて,有効例と無効例のEPO使用開始時の各指標について検討すると,性別,年齢,重症度,罹病機関,輸血歴,平均輸血量,血小板数,白血球数,血清鉄飽和度,血清フェリチン値については有意差を認めなかったが,Hb濃度(7,7:6.6g/dl),血清EPO濃度(1889 : 5665mU/ml),血清トランスフェリンレセプター濃度TfR(1007 : 486ng/ml)に明確な有意差を認めた.この成績をさらに解析すると,EPO濃度2000mU/ml以下,TfR500ng/ml以上の症例では100%(5/5例),必要輸血量1単位・週以下、EPO濃度2000mU/ml以下、Hb7g/dl以上の症例では100%(5/5例),必要輸血量1単位/週以下,EPO濃度2000mU/ml以下,Hb7g/dl以上の症例では100%(5/5例),必要輸血量1単位/週以下,EPO濃度2000mU/ml以下,白血球数3000/μ以上の症例では100%(4/4例)という結果が得られた.この指標を基にして症例を重ねて確認する必要がある。可溶性EPOレセプターについては健常者19例,AA11例,MDS10例について検索したが有意の成績は得られなかった。
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