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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
ラット耳下腺腺房細胞では,β-アドレナリン受容体の活性化によりアミラーゼ分泌が引き起こされる。一方,アデニリル化反応はATPのAMP部分がタンパク質に転移する反応であり,タンパク質の翻訳後修飾の一つである.本研究においては,アデニリル化がアミラーゼ分泌に関与することを明らかにする目的で,ラット耳下腺腺房細胞でのアデニリル化に対するアミラーゼ分泌を引き起こすシグナリングとの関連を検討した. 分離したラット耳下腺腺房細胞をサポニン処理により過透過性にし,ATPのアデニン部分を標識した[^3H]ATPとともにインキュベートした.その後,その細胞を破砕し,10万g上清画分と膜画分とに分離した.SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法にて標識されるタンパク質を分離したところ,両画分の70kDaタンパク質が標識されることが認められた.このタンパク質をゲルより切り出し,蛇毒ホスホジエステラーゼ処理をしたところ,アデニンの遊離が見られた.このことは70kDaタンパク質に少なくともアデニンを持った分子が結合していたことを意味するものであり,アデニリル化である可能性が考えられた. アミラーゼの分泌はβ-アドレナリン受容体の活性化に引き続く細胞内サイクリックAMP(cAMP)の上昇が必要であることから,cAMPの効果を検討した.cAMPは70kDaタンパク質の標識を有意に阻害した.β-アゴニストであるイソプレナリンやアデニール酸シクラーゼを活性化し細胞内cAMPを増加させるホルスコリンも同様な阻害効果を示した.カルシウムイオンをキレートするとアデニリル化は抑制され,cAMPの効果も認められなかった.これらの結果は,cAMPシグナリング系によりアデニリル化が調節されていることを示唆しており,アミラーゼ分泌への関与が期待される.
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