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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
メチルトリオキソレニウムはごく最近Herrmannらにより開発された酸化触媒で高い触媒回転数を特徴とし、二重結合のエポキシ化反応に有用であるが、芳香族共役オレフィンのエポキシ化には利用できないなど、反応性の制御に課題を残している。私はHerrmannらの酸化条件に再検討を加え、過酸化水素を酸化剤とし、反応系にビピリジンN,N′-ジオキシドを添加することにより、スチルベンから高収率で対応するエポキシドが得られることも見出した。本反応はその他種々オレフィンに適用でき、芳香族、脂肪族オレフィンともオレフィンの幾何異性を反映したエポキシドを与えた。シスオレフィンの不斉酸化に有用なJacobsen触媒がしばしば異性化を伴うことからも、本研究で開発したメチルトリオキソレニウム・ビピリジンN,N′-ジオキシド・過酸化水素系が新しい酸化反応として有望であることを示している。そこで本反応の不斉化を目指し、レニウムに対する不斉配位子とする光学活性ビピリジンN,N′-ジオキシド誘導体の合成を行った。化合物としての安定性を配慮して設計した軸不斉3,3′-ジメチル-2,2′-ビキノリンN,N′-ジオキシドはアントラニル酸を出発原料とし、光学活性ビナフトールとの水素結合錯体による光学分割を経て、高収率で光学的な純品を得た。この光学活性N,N′-ジオキシド存在下、スチルベンを基質としてエポキシ化反応を行った。反応は高収率で進行するものの、不斉配位子が10モル%以下では不斉誘起は殆ど観測されなかったが、200モル%用いると低収率ながら88%eeという高い不斉収率で対応するエポキシド体を得た。詳細な条件検討の結果、不斉誘起は酸化段階におけるオレフィンの面選択ではなく、一旦生成したラセミ体エポキシドの速度論的分割によることが判明した。
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