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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
光合成電子伝達系で光エネルギーを利用して水を分解しプラストキノンを還元する光化学系IIの反応中心タンパクの一つD1は葉緑体のpsbA遺伝子にコードされている.反応中心クロロフィルP680は水を酸化するのに十分な+1V以上の高い酸化還元電位をもち,D1タンパク上のアミノ酸と水素結合を形成していると考えられている.そこで,P680と水素結合を形成すると考えられているN末から286,291および292番目のアミノ酸を置換した葉緑体形質転換体を緑藻クラミドモナス(Chlamdomonas reinhardtii)から作出した.得られた4種の形質転換体(Thr286Ala,Ser291Leu,Ser291Ala,Thr292Ala)は光合成的に生育し,光合成活性と光化学系II複合体の蓄積量は野生型とほとんど変わりなかった.それぞれの形質転換体から光化学系IIコア標品を純化しフーリエ変換赤外吸収スペクトル測定を行った結果,P680との間に形成される水素結合はすべての形質転換体に存在することが明らかになった.したがって,保存された3種のアミノ酸は水素結合には関与していないことがわかった. 一方,D1タンパクのC末端側はアミノ酸配列がよく保存され,酸素発生系のマンガン原子を結合すると考えられており,さらに前駆体D1たんぱくのプロセッシング部位をもつ.そこでpsbA遺伝子のD1たんぱくのC末端側をコードする領域にオリゴヌクレオチドを用いてランダムな突然変異を導入することを試みた.N末から295-304,335-344,343-344そして345番目のアミノ酸にランダムな突然変異を導入したオリゴヌクレオチドを合成し,限定した領域内でランダムな突然変異を導入したpsbA遺伝子を作製した.現在,このランダムな変異をもったDNA断片を用いて葉緑体形質転換体を作製しつつある.
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