Project/Area Number |
07851011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 講師 (40235966)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 生涯発達 / 熟達的知識 / 実践的知識 / 中高年期 / 認知的加齢 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中年期以降に獲得される熟達的知識について調査することであった。具体的に言うなら、組織で働く50歳代の人たち(会社員や公務員)が、20歳代の大学生及び職業をもたない50歳代の人たち(家庭の主婦)に比べて、組織の間でおこる実践的な問題について、適切な解決方法を考え出せるかどうかを調べることであった。 新聞社が広告主の信用を著しく傷つける誤報記事を掲載したという内容の小説を被験者に示し、どのような謝罪あるいは賠償をすることが適切かを問題にした。正解は慰謝料を支払うことと責任者の降格である。実験1では、被験者に解決法を自力で考えさせた。50歳代のサラリーマンでは、大学生・主婦に比べて的確な解決法を示す割合が際だって高かった。この結果から、サラリーマンに共有されている熟達的知識の存在が示された。次に実験2で、適切な解決法を含めたいくつかの選択肢を与えたところ、主婦や学生でも正解を選ぶ者が増加し、50歳代サラリーマンとの差がほとんどなくなった。この結果から、損害賠償に関する知識はサラリーマンでなくてもなんらかの形で獲得していることが示唆された。但しふだんその知識を活用する機会が少ないため、自力で思いつくことが困難なのだと考えられる。実験1・2の結果をまとめると、中年期以降の知的発達は、全く新しい知識が獲得されるというよりも、それまでになんらかの形で得られていた知識が、職業上の必要に応じて頭の中で編集され直すのだと言えよう。今回の調査の問題点としては、職業をもつ群の大半が男性であったために性差の要因が混入してしまった。これを排除した調査をする必要がある。しかし萌芽的研究として十分な成果を得たと言えるだろう。
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