先端生殖技術に関する語りにみる日本人の身体における「自然」観の研究
Project/Area Number |
07851037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
柘植 あづみ 北海道医療大学, 基礎教育部, 講師 (90179987)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 医療人類学 / 先端医療 / 生殖技術 / 身体観 / 自然観 / 日本人 |
Research Abstract |
本研究では、体外受精や代理出産等の不妊治療技術および胎児の遺伝子診断や受精卵診断等の生命の質の管理にかかわる技術などの先端生殖技術が応用される時代において、「日本人」の身体における「自然」観の検討を試みた。本年度はまず、先端生殖技術に携わる医師とその利用者(患者)を調査対象とする直接面接の自由会話による聞き取り調査を実施した。本年度の調査では不妊治療・出産前の遺伝子診断と分娩に携わる医療者(産婦人科医・小児科医・助産婦)への聞き取り調査を行なった。また不妊治療技術の利用者および出生前診断の適応となる遺伝性疾患の患者への聞き取り調査も行なっている。資料の整理および分析に関しては、現在のところ筆者が従来から行なってきた不妊治療に関する医師と患者への聞き取り調査結果から、1、調査対象者の多くが先端生殖技術のうちのある特定の技術に対して「自然でない」とする概念を有すること、2、そのうちのほとんどが「自然でない」ことに負の価値が伴うとしていること、3、どの技術を「自然である」もしくは「自然でない」とするのかの弁別の基準には多様性があること、4、「自然」の意味内容おのびその表現の用いられ方にも多様性が存在していることの4点が指摘できる。さらに、医師においては「自然である/ない」という基準を医療技術に用いることへの反発や、逆に「医療技術は単に身体の機能を助けるにすぎないから現在用いられている生殖技術のすべてが『自然である』」とする論理も複数の調査対象者の言説にみられた。今後、調査対象者の数のみならず幅を広げて、得られた資料の分析を進めることによって、上記の3および4を明確にできると考える。さらに結果として得られた「日本人」の「自然」観を比較文化的に研究するための調査を計画している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)