Project/Area Number |
07853013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Business administration
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
金子 秀 埼玉大学, 経済学部, 助教授 (20204555)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 経営戦略 / 無形資産 / 研究開発 |
Research Abstract |
情報化社会において経営戦略をどのように構築するかといった場合、無形資産に注目することが必要である。とりわけ、研究開発や教育、知識、ノウハウ、情報といった無形資産が重要な生産要素になっているからである。しかも、これらの資産は国内だけではなく、海外にも自由にフローすることができる資産であり、従来の物的資産とは大きく異なっている。 日本企業は本国で研究開発と製品開発をおこない、そこで生産し、海外子会社はそれを販売するパイプラインとして当初は位置づけていた。そこでは規模の経済性を利用することができた。一方、日本の激しい競争環境は、成熟した製品はすぐに海外に移転し、日本の工場は「工場センター」として位置づけられ、海外工場のための技術支援部隊となっている。そこでは、多様な製品の開発のための試作なども行われており、いわば、範囲の経済性を有効に利用することができる。こうした、規模と範囲の経済性は事業部サイドの規制を受け、進出先の規制を大いに受ける領域となっている。現在、日本企業が研究開発の拠点を海外に設立することにより、競争優位を獲得しようとしている領域はネットワークの経済性と呼ばれるものである。すなわち、基礎研究であればあるほど知識やノウハウの移転可能性が高く、それを利用するユーザーが多ければ多いほど、その財の効用が高まるというものである。いわば、使用者が増えるほど「便益」が高まるという特性をもっている。換言すれば、規模・範囲の経済性が費用面であるのに対して、ネットワークの経済性は商品の便益面、ひいては収益面の効果である点に注目しなければならない。まさに、日本企業は、規模・範囲の経済性を追求すると同時に、海外に研究開発の拠点をつくることによって、ネットワークの経済性を享受しつつある点に経営戦略の特徴がみられるのである。
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