新しい炭素ナノネットワークの幾何学的構造と電子状況
Project/Area Number |
07854015
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤田 光孝 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (40192728)
|
Project Period (FY) |
1995
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1995: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 負の曲面 / グラファイト / フラーレン / 活性度 / らせん状チューブ / スポンジ状グラファイト |
Research Abstract |
炭素はその結合形態の多様性から、原子ネットワークとして様々な形状のものが可能となる。我々は、基本となるグラファイトネットワークに、5員環7員環などの多角形欠陥が入った場合の電子状態を詳細に検討し、新しい炭素材料の可能性を議論した。 グラファイトの蜂の巣格子から60°のクサビを切りとり端を繋げると、頂点にのみ5員環を円錐状の蜂の巣ネットワークが出来る。一方逆に60°のクサビをグラファイトに加えると、7員環の回りに鞍型の蜂の巣ネットワークの曲面が形成される。同様に120°ならば8員環が出来る。7員環や8員環を加えると、フラーレンネットワークのトポロジーの多様性は無限に拡がる。 負の曲面を持つ分子の代表例として、ド-ナツ状フラーレンの構造を考える。複雑そうなそのネットワーク構造も、高次フラーレン同様展開図を考えることによって用意に理解できる。このド-ナツの幾何学は、5員環と7員環の配置を決める4つのベクトルと、ド-ナツが穴の廻りに何回対称であるかによって完全に決まる。。このようにして出来たド-ナツの電子状態としては、NBO状態を示す構造が多数存在するなど、高次フラーレンとは違った多様性が見られた。 ド-ナツが閉じなければ、それは螺旋状チューブとなる。これは4つのベクトルで決まる一つのユニットが、無限に繋がったものである。螺旋状チューブは基本的に1次元物質でありグラファイトが筒状に閉じたフラーレンチューブと同様である。筒状チューブでは、その直径を与えるベクトルによって金属か半導体かが決まるが、螺旋状チューブでは幾何学的パラメータが飛躍的に増える。計算の結果、殆んどの螺旋状チューブは半導体的になるが、中に金属的になる構造も見つかった。 7員環や8員環の存在は、更に3次元的に拡がったフラーレンネットワーク「スポンジ状グラファイト」の形成も可能とする。これは謂わば2次元グラファイトと3次元ダイヤモンドを結ぶ物質である。その様々な構造は、多面体の空間パッキングとして考えれば理解し易い。例えば、正二十面体と正八面体の空間パッキングによって出来る。ダイヤモンド構造を持つ正三角形の3次元ネットワークや、切頭八面体の空間充填から出来る正六角形のネットワークに蜂の巣のデザインをする3次元パッチワークを考えれば、スポンジ状グラファイト構造が出来上がる。これらのスポンジ状グラファイトにおいても、蜂の巣パッチの種類に対応する幾何学的パラメータを変えると、半導体、ゼロギャップ半導体、金属の様々な電子状態が出現することが分かった。特に偶数員環だけで構成された場合は、フラットバンドの出現など、金属磁性を予期させる特異なバンド構造が現れることを発見した。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)