微小トンネル接合における近藤共鳴状態を介した電気伝導に関する数値的研究
Project/Area Number |
07854016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小栗 章 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10204166)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 共鳴トンネル / 電子相関 / 近藤効果 / 量子モンテカルロ法 |
Research Abstract |
本研究では、少数の量子準位のみからなる微小なトンネル接合における、共鳴トンネル現象に対する電子相関の効果を、磁性不純物のWolff模型を拡張したtight-bindingモデルに基づいて調べている。研究の主な目的は、接合部の局所的な電子状態と輸送的性質の関係を明らかにすることにある。 まず、共鳴準位が一個のみ存在する場合を考え、局所的な熱力学量を、量子モンテカルロ法(QMC)を用いて調べた。計算された局所帯磁率は、高温でCurie則に従い、低温では有限の値を持ちPauli常磁性的にふるまう。このことは、QMCで、近藤温度より低温域まで到達できることを示している。低温側で得たデータに対し最大エントロピー法を用いて、局所的な1粒子励起スペクトルの化学ポテンシャルμ依存性を調べた結果、近藤共鳴のピークがμの近くに形成されるため、広いμの範囲でほぼ完全な透過が起こることがわかった。この結論は、以前から予想されていたが、本研究では数値計算から磁性と輸送係数の両方を具体的に示した。同様に、共鳴準位が複数存在する場合(準位数=2,3,4)における熱力学量を調べた。その結果、接合部に平均して偶数個の電子の数が閉じ込められる場合は、これらの電子が分子的なsinglet対を作るため、近藤効果が押さえられる傾向があることがわかった。この状況は、磁性合金の場合に例えると結晶場により局在電子系のsinglet基底状態が実現している4f^2のPrイオン等の不純物の場合と似ている。現在、この類推から、分子的なsingletと近藤singletの競合の問題とクローン斥力の長距離部分を考慮に入れるための拡張を同時に進めている。 電気伝導度の値は久保公式を用いて得られるが、電流保存との関連から、電子間相互作用によるvertex補正の役割を明確にすることが、電気伝導度に関する数値計算法の基礎付けの上で必要になる。我々は、この点に関する考察をYosida-YamadaおよびShibaによる摂動論に基づく解析的手法を応用して行い、絶対0度の極限では電気伝導度に対するvertex補正の寄与は0になることを示した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)