Project/Area Number |
07855113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
高分子構造・物性(含繊維)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
工藤 一秋 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (80251669)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 酸増殖反応 / 酸触媒反応 / 自己触媒反応 / 光画像形成材料 / 高感度化 |
Research Abstract |
報告者は、申請時の研究目的において、少量の酸分子から大量の酸分子を生成する酸増殖反応という新概念の可能性を提案した。これは、酸触媒の作用によって化学変化を起こし、その際に新たな酸分子を離脱する、という性質を持つ分子(酸増殖剤)があれば可能になるものと考えられた。そこで、そのような化合物として、2-メチル-2-トシルオキシメチルアセト酢酸tert-ブチルエステルや2-フェニル-(2-トシルオキシエチル)-1,3-ジオキソランを酸増殖剤として設計・合成し、まず溶液中での分解挙動について調べた。これらの化合物は、溶液中で触媒量の酸とともに加熱することで分解反応を引き起こし、その際に新たにp-トルエンスルホン酸を高収率で発生することがわかった。さらに、分解挙動を^1H-NMRにより追跡したところ、自己触媒反応に特徴的な現象である反応途中からの反応の加速が観察された。次に、これらの化合物を、光化学的に発生した酸を触媒として高分子反応を引き起こすような光画像形成材料に加え、酸を増殖させることで、この感光材料の感度を向上させることを試みた。その結果、化合物の添加により、実際に感度が3倍から10倍程度向上することがわかった。酸増殖剤と同じ分子骨格をもち、強酸を遊離しないようなモデル化合物を用いた場合の実験結果との比較から、高分子膜中での酸増殖反応により高感度化が達成されたことがわかった。これまでに知られている自己触媒反応には、反応生成物が他の反応に関するような系はない。これに対し、本反応において自己触媒的に生じる化学種は強酸であり、これは種々の反応を触媒することが知られている。本研究の成果のもっともなものは、このような概念的に新しい反応系を見いだした、というところにある。また、光画像形成材料の高感度化が達成されたことは、応用面に関しても十分に意義深い。
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