Research Abstract |
1.イチゴにおける奇形果の発生要因について イチゴを用いて日長・温度を変えて栽培し品種ごとに奇形果の発生する環境条件を調査した.低温短日条件下で奇形果の認められる‘Howardl7'‘Robinson'などのHoward系品種と‘福羽',‘女峰'などの福羽系品種,1花梗に一つ着花する品種‘Pajaro'を供試し,それぞれの品種を花芽分化期に日長処理ハウスに搬入し8,10〜12時間日長条件において奇形果の発生頻度について調査を行った.しかし,どの処理区・品質においても顕著な花梗の帯化は認められなかった.今後,帯化発現に条件を決定した後に帯化部と非帯化部の組織を比較し,帯化組織の特異的に発現するタンパク質,RNAの同定を試みる予定である. 2.ダイズにおける帯化の発現要因について 安定して茎に帯化の認められる品種‘石化大豆'を用いた.12〜14時間日長で栽培した場合,‘石化大豆'に帯化の発現が認められた.9〜11時間日長で栽培した場合,帯化は認められなかった.本来ダイズの葉序は互生であるが,葉序に対生が認められたため,帯化の発現が完全に抑えられたのではないと考えられた.‘石化大豆'においては短日条件下で帯化の発現が抑制されることが明らかとなった.また,頂芽を切除したときに伸長する側枝には帯化発現の抑制が認められた.‘石化大豆'を用い,環境条件を変えることで帯化発現の調節が可能となり,同一植物体または同一品種の帯化組織と非帯化組織とを比較し,帯化発現に特異的なタンパク質,RNAの同定が可能になると考えられた. 3.形質転換体の利用について 矮化,節間伸長抑制および帯化などの形質を発現するrol遺伝子群を有するAgrobacterium rhizogenesをカンパニュラ,ブロワリア,ペチュニアに感染させ,Ri plasmidを導入し,得られた形質転換体をin vitroで育成中である.今後,形質転換体についてその生育特性を調査し,遺伝子の発現について調査する予定である.
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