潰瘍性大腸炎と一酸化窒素合成酵素との関連性に関する研究
Project/Area Number |
07857016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
池田 郁雄 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (30266712)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / nitric oxide / inducible nitric oxide synthase |
Research Abstract |
[目的・方法] 活動期潰瘍性大腸炎(UC)では、主にinducible typeの一酸化窒素合成酵素(以下、iNOS)を経由し一酸化窒素(NO)が発生するといわれている。NOは、数秒で代謝されるため、生体中で検出するのは難しい。そのため、本研究ではUCの病態とその進展にNOがいかに関与するかを検討するため、抗ヒトiNOS抗体およびiNOScDNA probeを作製し、UC患者の腸管組織を用いてiNOSの発現、分布について免疫組織学的に検討を行った。また、UC患者血清を用いてNOの代謝産物であるNO_2^-,NO_3^-の測定も行った。 [結果・考察] UCの活動期の患者血清のNO_2^-,NO_3^-濃度は正常コントロールに比べ有意に高値であり、UCの活動期では全身においてNO産生の亢進が考えられた。作成したiNOS抗体はELISA法およびWestern blot analysisで特異性を確認した。活動期UCの生検組織を用いたWestern blot analysisでは、分子量130KDにbandがみられ、組織中にiNOSタンパクが確認された。iNOS抗体を用いた検討では潰瘍性大腸炎患者の活動期の潰瘍底又は潰瘍周囲に出現した炎症性細胞1000個あたり450±30個のiNOS陽性細胞が認められた。非活動期および正常部位でiNOSの発現はほとんど認められなかった。これら、iNOS陽性細胞は形態的特徴および免疫二重染色から好中球,マクロファージ,繊維芽細胞,血管内皮および血管平滑筋であった。さらに、in situ hybridization法でも同様の細胞にmRNAの局在が認められた。 以上より、UCの活動期にはmRNAレベルおよびタンパクレベルでiNOS発現が認められた。このことは、UCではIL-1β,TNF-α等のサイトカインやエンドトキシンの産生亢進が報告されており、これらの刺激により誘導されたiNOSがNOを介して、UCの病態に重要な働きをしている可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)