Project/Area Number |
07857021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Bacteriology (including Mycology)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
木村 浩一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90177915)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | Helicobacter pylori / gastric ulcer / gastritis / gastric cancer / wacA / genotype / PCR |
Research Abstract |
Helicobacter pyloriは、胃炎、胃潰瘍さらに胃癌との関連が指摘されている。この菌の持つ病原因子を特定することが本研究の最終的に目的である。この目的のため、まず臨床分離株76株のH.pyloriについて疾患と遺伝子型の関係を調査した。調査対象として選択したH.pyloriの遺伝子は、細胞空胞毒素蛋白の遺伝子vacAである。この細胞空胞毒素蛋白は、現在まで判っているH.pyloriの蛋白の中で、培養細胞に直接障害を引き起こす唯一の蛋白である。また、この毒素は、H.pyloriのCagA蛋白と共に十二指腸潰瘍との関連性も疑われている。研究方法であるが、まず胃カメラを施行した患者から生検材料を得、直ちにH.pylori専用培地に塗布した。約1週間程度の培養後、H.pyloriと思われるコロニーを拾って、H.pylori専用培地5枚に植え継ぎ、4日後に菌を回収して一部を菌株保存用、残りをDNA抽出用と菌種検査用に分割した。H.pyloriの同定は、ウレアーゼ、コアグラーゼ、カタラーゼテストにより行った。こうして得られた76株のH.pyloriよりDNAを抽出し、PCR法を用いてvacA遺伝子を増幅した。増幅したDNA断片を制限酵素Hpa IIで切断し、その切断パターンをアガロースゲル電気泳動により解析したところ、十二指腸潰瘍、胃癌および胃潰瘍の各疾患それぞれに対し、統計的に有意な関連性を示す遺伝子型が存在することを見出した。この結果は、H.pyloriのすべてがこれらの疾患に関与するのではなく、特定の菌株が、何らかの特別な病原因子を保有することを示唆するものである。今後、この実験結果を基に、病原因子、特に癌化に関係した病原因子を保有すると思われる菌株に対象を絞り、遺伝子ライブラリーを作製して、H.pyloriの病原因子を明らかにしたいと考えている。
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