Project/Area Number |
07857029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public health/Health science
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
細川 博司 大分医科大学, 医学部, 助手 (70264330)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1995: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 活動性肺結核症 / 慢性関節リウマチ / マクロファージ活性 / 発症抑制 |
Research Abstract |
肺結核(TB)に罹患すると、生体内ではリンパ球系、特にマクロファージが活性化されているという事実がある。一方、慢性関節リウマチ(RA)の薬物治療の一部には古くから我が国においては金剤、海外においては抗マラリア剤であるハイドロキシクロロキンがよく用いられる。この二剤のRAに対する作用機序は、マクロファージ活性を活性化するとされている。また、戦後すぐに、この作用機序を利用して金剤やクロロキン製剤はTBの治療薬としても使用されていたこともある。今もってRAの治療は困難を極め、とりわけ悪性関節リウマチは厚生省難病指定疾患のおおきな位置をしめているのが現状である。そうした経緯をふまえて、私は先ず、実際に両者の合併がどのくらいあるのかを各種疫学的方法を用いて詳細を把握しTBのこの病態がRA発症と関連があるかどうかを検討することを着想した。TBにおける免疫賦活状態(特にマクロファージの活性化)がRAを発症の抑制に関与していると仮定して、その第一段階として両者の合併率を検討することを目的とした。(1)大分県内の結核病床数第一位の施設において、平成2年〜6年の5年間に入院した活動性結核症患者285例(平均年齢:58.8歳、男女比は2.1:1)を対象にその発症因子となりうる基礎疾患として入院時にRAを合併していたものは4例(平均年齢51歳)であった。なお、その4例はいずれもRA発症後にTBを合併した症例であった。全症例258例中、再発と断定できた症例は62例あったが、さかのぼれる初感染から現在までに(この時期の平均は18.8年)RAを合併した例は皆無であった。(2)大分県内のRA専門病院において、平成2年〜6年の5年間に入院したRA患者748例(平均年齢:54.2歳、男女比は1:2.4)を対象に既往にTBがあるものをカルテおよび胸部X線写真にて調査した(平均罹病期間は21.4年)。その結果RA発症前にTBの既往のある症例は皆無であった。以上まとめると(1)特定要因(活動性肺結核症感染)への暴露集団のフォローアップ、すなわちTB罹患後のRA発症、(2)レトロスペクティブなRA患者のTB既往の有無、以上2方向からのTB-RA合併率を検討した結果いずれも低率であることが判明した。したがって活動性肺結核状態が慢性関節リウマチの発症を抑制している可能性が示唆された。今後この抑制のメカニズムについて両疾患におけるマクロファージ活性の測定等生化学的検討がなされることが期待される。
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