サイトカインの動態を指標とする皮膚損傷の受傷後経過時間判定に関する研究
Project/Area Number |
07857033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
権 稔和 金沢大学, 医学部, 講師 (70251923)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 法医損傷論 / 生活反応 / 損傷(創傷)治癒 / 受傷後経過時間 / IL-1 / IL-6 / IL-10 / TNFα |
Research Abstract |
マウス皮膚損傷の治癒過程におけるサイトカインの動態を免疫化学及び免疫組織化学的に検索し,損傷の受傷後経過時間判定におけるサイトカインの有用性を検討した. 受傷後0から1日:受傷後1時間よりTNFα及びIL-1βが急激に上昇し,受傷後3時間でいずれも最高レベルに達した.IL-1αとIL-6はやや遅れて上昇し,受傷後6時間でピークとなった.したがって、これら炎症性サイトカインのなかで,TNFα及びIL-1βが炎症反応開始のための重要なメディエーターと考えられた.一方,IL-10の動態は炎症性サイトカインであるIL-1βやTNFαの動態とほぼ同様であった.IL-10はIL-1βやTNFαの産生を抑制することから,IL-10は炎症反応が遷延化したり、過剰になったりすることを抑制していると考えられた.これらサイトカインの局在について,受傷後3及び6時間目までの炎症早期では,主に好中球に陽性所見が認められ,受傷後1日目ではマクロファージと思われる単核の大型炎症細胞に陽性所見が観察された. 受傷後3から10日:受傷後3日目にはこれら全てのサイトカインについて,リバウンド現象が認められ,この時期は創傷治癒の増殖期に相当する時期であり,組織学的に損傷部位での肉芽組織形成が盛んとなり,マクロファージや線維芽細胞にこれらサイトカインの陽性所見が認められた.このことはサイトカインが創傷治癒局所のリモデリングにも関与していることを示唆するものと考えられた. まとめ:炎症性サイトカインが創傷治癒過程の炎症期のみならず増殖期においても重要な役割を担う可能性が示された.また,抑制性サイトカインも同様に正常な創傷治癒のための重要な因子であることが判明した.また,これらサイトカインの動態は皮膚損傷の受傷後経過時間判定のための有用な指標となることが判明した.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)