Research Abstract |
実験的研究 ソマトスタチン(SMS)によって内因性GH分泌を抑制したラットを用いて、ヒトGH(hGH)の投与がエリスロポエチン(EPO)ならびにlGF-1の分泌に及ぼす影響について検討した。10-11週齢のWistar系雄ラットを用い、SMS誘導体octreotideを12時間毎に皮下投与し、その後に浸透圧ポンプを用いて、hGHを48時間持続皮下投与した。ラットは、GH投与開始前(0),3,6,12,24,48時間後および無処置群の7群に分けて、断頭屠殺し全採血した。血漿GH、lGF-1,EPOは特異的なRlAによって測定した。血漿ラットGHはSMS投与により有意に抑制された、血漿hGHはhGH持続皮下投与開始後上昇し、6時間後高値を示した。血漿lGF-1は12時間後より有意に増加し、48時間後に頂値を示した。血漿EPOはhGH投与開始後3時間より上昇し、48時間後に有意に上昇した。腎のlGF-1含量は12時間後に上昇した。腎のEPO含量は12から48時間後に低下した。肝のlGF-1含量は24時間後に上昇した。肝のEPO含量は48時間後に上昇した。腎の器官培養においても、EPOの分泌はhGHにより抑制された。以上より、ラットにおいてhGHの投与は、腎よりむしろ肝のEPO産生を直接促進することが示唆された。 臨床的研究 慢性腎不全症例に対し、hGHを7日間持続皮下投与し、血中EPO値ならびに網状赤血球数、ヘモグロビンの上昇について検討した。hGH投与開始後、EPOは上昇し、網状赤血球の上昇を伴った。EPOの上昇は3日間投与群よりも有意に高値であった。以上の成績は、hGHの長期間投与は、貧血改善に有用である可能性を示唆する。
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