Research Abstract |
本研究の目的は末梢神経の修復過程において一時的に発現するサイトカインを検索することにより、将来的により効率的な神経再生を人為的に制御する可能性を探るための第一段階として計画されたものであった。ターゲットとしたサイトカインはHGF,BMP,b-FGFであったが、切断されたラット坐骨神経において、その修復過程にのみ特異的に発現するのはHGFのみであった。これは免疫組織化学的(ABC法ペルオキシダーゼ染色)に蛋白レベルでも、in situ hybridization法によりm-RNAレベルでも確認され、それは損傷初期に同部に動員されてくる細胞により、産生されることがわかった。その細胞のcharacterizationのため、抗S-100抗体、抗neurofubril抗体を用いた結果、Schwann細胞ではない感触を得た。現在ほかの抗体により、そのcharacterを検索中である(この結果は現在投稿中である。acceptされれば、報告したい)。またBMPは神経損傷という刺激により初めて発現するものではなかったが、損傷前後において、その発現が変化することがわかり、現在それを追及中で、次年度の科学研究費補助金を申請中である。b-FGFについては手技上の問題か、抗体の問題か、発現の可能性は残されているが、有意な所見は得られていない。今後所見の得られているHGF,BMPに関しさらに追求を求め、現在全くといってよいほど解明されていない、末梢神経の修復帰転における制御系を明らかにしていきたいと考えている。
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