Research Abstract |
[対象]Athetoid型脳性麻痺患者6名(男5女1 34-55歳)で、頚椎症性脊髄症をきたし,はじめ筋解離術を行い,その後,脊髄管拡大術を行い,術前後の経過が明らかなものである. [方法]1.術前,頚部の運動のVHSビデオ記録と,頚部筋からの表面筋電図および等尺性筋力測定を,同時に行った.坐位安静時のビデオ記録で,眉間の1秒間の移動距離から運動強度を分類した.更に,1%リドカインによる神経ブロックを副神経の各筋枝に行って,被ブロック筋の発火様式の変化から不随運動を生じている主動筋の同定を試み,術後を予測し,被解離筋への筋解離術よる安全性を確かめた.術後は,筋の発火様式を上記検査で経時的に追跡した.2.術式は後頭部に馬蹄鉄型皮切で進入し,胸鎖乳突筋,僧帽筋,頭板状筋,頭半棘筋を後〜側頭骨から骨膜下に解離した. [結果]1.全症例において,術前の全ての神経ブロックで,胸鎖乳突筋と僧帽筋の坐位安静時不随意性発火は減少したのに対し,坐位運動時随意性発火および筋力は保たれた.2.各筋枝への神経ブロックによる差から,主動筋を同定できなかった.3.全症例において,術前の神経ブロック効果と筋解離術後の変化は類似し,随意筋力は20%程度の減少に留まった. [考察]不随意運動減少効果は,筋解離術,神経ブロック共に,アルファ運動ニューロンへの末梢性入力の低下をきたすことから,アルファ運動ニューロンの興奮性が変化し、中枢性入力に対する反応が変わるのではないかと考察している.随意運動保持効果については明かでない。 [結論]筋解離術により,Athetoid性頚部不随運動を減少させ,随意性を保つという結果が得られた。筋解離術は,神経機構および筋自体を保ちながら,不随意運動を減少させる方法である.Athetoid型頚部不随意運動以外の頸部不随意運動にも不随運動の制御可能と思われ,今後も解析を続けていく予定である.
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