Research Abstract |
免疫増強剤を用いず同系精巣細胞の皮下注射のみで起こる自己免疫性精巣炎はT細胞依存性で精巣内へのリンパ球の浸潤は抗原特異的であったが、続く造精障害は抗原非特異的な組織像を呈していた。よって特異抗体の血液一精巣関門内への流入及び抗原特異的細胞障害性T細胞による特異的細胞破壊でなく精巣内炎症細胞から局所的に分泌されるサイトカイン(インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子、他)がSERTOLI細胞,LEYDIG細胞、未成熟なGERM CELLS(精祖・精母細胞)を含む造精系そのものに作用しそれを破綻せしめるのではないかと考えた。サイトカインの精巣細胞(SERTOLI細胞・LEYDIG細胞・精母細胞)への影響に関する研究がin vitro系で盛んに進められているが一致する見解は得られず混沌としている。本研究においてサイトカインは同系精巣細胞を注射されたマウスにおいて特にIL-1,IL-2,INF-rが高くなったがIL-3及びIL-4はコントロール群と変わらなかった。同系精巣細胞を用いずに強力な免疫増強剤である百日咳死菌のみをマウスに注射し高サイトカイン血症下での精巣への影響を解析中であるがまだ結論は出ていない。ただ百日咳菌の2回注射により明らかな局所的造精障害を確認した。また高濃度サイトカイン(特にインターフェロン-ガンマ)の精巣局所注射は激しい造精障害を引き起こしたがサイトカイン濃度の段階別による効果および経時変化は現在解析中である。
|