Research Abstract |
歯根膜細胞をin vitroで培養・増殖させ、これをin vivoに移植することが歯周組織再生に有効であるかを検討した。近親交配ウイスター系ラットから上下前歯を採取、歯根膜細胞をMEM中で4週間培養し増殖させた。同時に抜去歯のセメント質を完全に除去し、縦2mm,横1mm,厚さ0.5mmの象牙質片を作製し、1Nクエン酸で1分間酸処理を行い、MEMで洗浄した。test groupは、これに培養した歯根膜細胞を播種し、象牙質片上でconfluentになるまで4週間培養し移植を行った。 Negative controlは細胞付着のない象牙質片を移植した。Positive controlは健康な歯根膜の付着した新鮮抜去歯を獲得して直ちに移植した。3群とも移植部位はラットの頭蓋骨上とし、被験面を骨面側にして静置、Gore-Tex膜で被覆して弁を縫合した。各群N=2として2,4週後に屠殺し光顕観察して、被験象牙質面の形態を評価した。その結果、negative controlは2週ですでにほぼ全面が骨性癒着して根吸収がみられ、4週ではさらに根吸収が進行していた。positive controlは2,4週いずれの例も、骨性癒着して根吸収が認められた部分と、セメント質と歯根膜が残存して生理学的な形態に類似した像との両方が認められた。2週と4週との比較では、4週例の方が根呼吸の面積がやや増加している傾向が見られた。それに対し、test groupは、2週例では骨性癒着は認められず、結合織が根面の線維と結合している結合織性付着の状態が多かった。4週例では結合織性付着様部分とセメント質様の硬組織新生部分が認められ、骨性癒着は見られなかった。以上の結果から、培養歯根膜細胞を移植することは、歯周組織再生にきわめて効果が高い可能性が示唆された。現在、各実験群の観察期間を2,4,6週、N=10として再度実験を行い、標本作製をして各群の象牙質表面の形態を分類して計測しており、近日中に本実験の成果を定量的に明らかにできる予定である。
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