Project/Area Number |
07858095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
神経・脳内生理学
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
伊佐 正 群馬大学, 医学部, 助教授 (20212805)
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Project Period (FY) |
1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1995: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | キンドリング / グルタミン酸受容体 / AMPA受容体 / 海馬 / シナプス / RT-PCR法 |
Research Abstract |
本研究課題において申請者は、まず、(1)貫通枝キンドリングを形成したラットの海馬スライスにおいてパッチクランプ法によるホールセル記録を行い、細胞膜に発現するグルタミン酸受容体の性質を電気生理学的に解析する。(2)しかる後に細胞質をパッチ電極内に吸引し、電極内液に含まれる逆転写酵素を用いて細胞質中のmRNAから一本鎖のcDNAを合成し、そのcDNAをグルタミン酸受容体mRNAに特異的なプライマーを用いてPCR法によって増幅し、その産物を制限酵素解析やsouthern blot法で解析することによりその細胞に発現するグルタミン酸受容体分子のサブユニット構成を明らかにする(RT-PCR法)。(3)そしてその結果を対照群と比較することにより、キンドリング形成に関わる興奮性シナプス伝達機構の変化を分子レベルで明らかにすることを目的とした。 本年度はその第一歩として、正常ラットの海馬スライス標本を用いて海馬の様々なニューロンのAMPA受容体の電流-電圧特性をパッチクランプ法によって調べ、その細胞に発現するAMPA受容体のサブユニット構成を調べた。その結果、生後10-15日のラットの海馬CA1,CA3の方線層の円形小型の介在ニューロンで著明な内向き整流特性を示す(II型AMPA応答)を示す細胞においてはGluR2サブユニットが全例(9/9)で検出された。それに対して、AMPA受容体が外向き整流特性のI型の応答を示すことが知られているCA1の錐体細胞や歯状回の顆粒細胞では、3分の2の細胞でGluR2が検出された。残りの3分の1の例で検出できなかった理由については収穫されたmRNAの量が十分でなかった可能性が強く今後改善する必要のある技術的問題である。いずれにしても、ここまでの結果はII型のAMPA応答を示す細胞ではI型の応答を示す細胞よりもGluR2サブユニットの発現が少ないことを示唆しており、クローンの発現実験の結果とあわせて考えると、II型の応答を示す細胞のAMPA受容体の内向き整流特性と高いCa透過性はGluR2サブユニットの発現量が少ないことに起因すると結論された。 これとは別に貫通枝キンドリングラットを安定して作成できるようになったので、今後はキンドリングラットでの実験に移行する予定である。
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