Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 二三夫 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (30178397)
下河辺 明 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (40016796)
石原 宏 東京工業大学, フロンティア創造共同研究センター, 教授 (60016657)
宮本 智之 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (70282861)
徳光 英輔 (徳光 永輔) 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (10197882)
中村 健太郎 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (20242315)
馬場 俊彦 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教授 (50202271)
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Budget Amount *help |
¥1,083,000,000 (Direct Cost: ¥1,083,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥100,000,000 (Direct Cost: ¥100,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥353,000,000 (Direct Cost: ¥353,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥320,000,000 (Direct Cost: ¥320,000,000)
Fiscal Year 1997: ¥310,000,000 (Direct Cost: ¥310,000,000)
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Research Abstract |
本年度は,COEプロジェクト最終年度として,平成7年〜11年度までの研究により見出されたデバイス技術の発明や新たに見出された光電子システムの可能性を基に,最近の情報ネットワークの世界情勢の激しい変化に対応して,これまでの研究をさらに発展させたデバイスの飛躍的性能向上とシステム化について推進し,次の成果を得た. 1.面発光レーザの極限性能追求 超並列光エレクトロニクスを実現する上で鍵となる並列光源の面発光レーザについて,レーザ特性の向上と広い範囲の波長のデバイス実現,さらに,新機能面発光レーザの実現を目指して研究を行なった. (1)面発光レーザの完全単一モード化において重要な偏波制御について,傾斜基板上での活性層の結晶歪を大きくすることが安定な偏波制御に有効であることを理論的に明らかにした.実際に,単一横モードの3×3面発光レーザアレーを(311)B基板上に製作し,直交偏波抑圧比と横モード抑圧比に優れた完全単一モード面発光レーザアレーを実現し,高速変調時の直交偏波抑圧比も優れていることを明らかにした. (2)光ファイバ通信に適した長波長帯面発光レーザとして,GaInAs高歪量子井戸を用いた波長1.15μmのデバイスを実現した.しきい値電流0.9mAで170℃までヒートシンク無しで連続動作した.また,実用温度範囲での光出力の低下がきわめて少ないことを見出した. (3)新材料GaInNAsを用いて,化学ビーム成長法による波長1.2μm帯面発光レーザで1mAの低しきい値電流を実現した.また,初の全MOCVD成長による波長1.26μmのGaInNAs面発光レーザ,および,MOCVD法による世界最小レベルの低しきい値電流密度のレーザを実現し,GaInNAsの面発光レーザへの適用性を実証した. (4)青色・紫外面発光レーザへの取組として,光励起面発光レーザによる誘導放出を確認した.また,短共振器形成に必要なレーザ照射による基板剥離技術が活性領域へダメージを与えないことを明らかにし,面発光レーザ実現の可能性を開いた. (5)面発光レーザアレーの実現のため,新たに温度や水蒸気量の精密制御が可能なAlAs酸化装置を設計し,5×5のアレーデバイスについて,単一横モード発振と,しきい値電流0.42mA±0.02mAという均一性の高いアレー光源を実現した. (6)マイクロマシン技術を取り入れた面発光レーザ型波長選択フィルタを試作し,温度に対するフィルタ波長変化が0.01nm/Kときわめて少なく無く,また,アレー状の素子において各素子の表面をわずかにエッチングすることでそれぞれ異なる光波長をフィルタできるアレーデバイスを実現した. (7)面発光レーザの出射孔へ微細加工を行なうことで,安定な横多モード発振を実現できることを示し,高出力で安定な動作が可能なデバイスの実現の可能性を開いた. 2.超並列応用システム 将来のテラビット級の大容量の情報を扱う光通信ネットワークシステム,並列光情報処理システム,光電子融合型プロセッサ,およびこれらを統合した超並列光エレクトロニクスのシステム研究を推進した. (1)光軸無調整光モジュールとして,波長多重化や大規模化に適した,光源を微小光ベンチに水平に設置する水平型モジュールについて,3×3チャネル面発光レーザとマイクロレンズを用いたコリメート光源アレーモジュールの試作を行い,また,積層光回路に基づく1mm^3の波長多重光回路チップの製作プロセスを確立した.さらに,簡易な構成により2次元アレーモジュールを実現する垂直型の光モジュールの試作を行い,2次元アレー光デバイスの実装技術の基礎を確立した. (2)テラバイト級大容量光メモリのための面発光レーザ光プローブを実現するために必要な,微小光反射による面発光レーザの特性変化を微小金属プローブによる特性変化により明らかにし,大容量光メモリ用信号検出の基礎を確立した. (3)面発光レーザアレーを用いた光無線LANシステムを検討し,面発光レーザアレーをスキャンして通信対象を探索することで,低消費電力かつギガビット/秒クラスの高速な光無線ネットワークが実現できる可能性を明らかにした. 以上,本年までの研究により,本プロジェクトの当初の目標を達成すると共に,新たなデバイスおよびシステムの可能性を示した.これらの成果は,産業分野への応用,および今後の当該分野の研究に対し方向性を示すものであると信じている.
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