Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2009: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2008: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
γセクレターゼは,アルツハイマー病で脳内に蓄積が見られるアミロイドβタンパク質(Aβ)を産生する酵素である。近年の研究から,γセクレターゼは,presenilin, nicastrin, Aph-1, Pen-2の4つのタンパク質の複合体であると考えられており,また,γセクレターゼの基質は複数箇所で切断を受けることが分かっている。このようなことから,γセクレターゼは,複雑な基質切断機序を持っていることが示唆されてはいるが,酵素学的な解析はまだまだ発展途上である。私はこれまでに,哺乳類培養細胞を用いてγセクレターゼの解析を行う過程で,γセクレターゼが基質をC末端側から3残基毎に,段階的に切断をするのではないか,という「トリペプチド仮説」を裏付ける結果を得てきた。本年度は,自身が中心となって樹立した酵母膜画分を用いたin vitro assay系を用いて,「トリペプチド仮説」の直接的な検証を試みた。特に,段階的な切断の際に産生されると予測される中間体を基質として用い,その中間体からγセクレターゼによるAβ産生反応が起きるかどうかの検証を行った。この中間体は哺乳類細胞内では不安定であり,遺伝子組み換えによって哺乳類細胞に発現させても,ほとんどタンパク質として得られないため,哺乳類細胞での検証は困難であった。しかし,酵母を用いた系では,この中間体が十分量得られるため,従来の方法では実現できなかった解析が可能となった。しかし,予想に反して,ここで用いた中間体はγセクレターゼによって切断されなかった。これらの結果は,中間体がγセクレターゼに基質として認識されていないと考えると説明が可能であり,γセクレターゼの基質認識には基質自身のC末端側の長さが重要であることが示唆された。今後,基質の長さに着目しての基質認識機構の解明が期待できる。
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