Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
視覚探索の心理学的な研究は盛んになされ,様々な特性が明らかになっている.しかし,その神経機構は現在まで解明されていない.鳥類では網膜への遠心性投射系(向網膜系)が発達している.現在まで報告者らが明らかにした解剖学的,生理学的知見をもとにすると,鳥類の向網膜系は並列でしかも独立した約1万個のモジュールで構成されていると見做すことができる.一つのモジュールは,視野のある限局した部位を調節する.仮に活発に活動しているモジュールが順に移動していくと仮定すると,網膜の出力(神経節細胞の活動)を局所的に且つ一時的に増強し,しかも増強する部位を移動させることができる.仮に向網膜系が「注意の向かう」対象のある位置に相当する網膜の部位の出力を増強するとしたら,Treismanらによって提唱された「注意のスポットライト」のモデルを実現する神経機構といえる. 今年度は昨年度までに完成させた視覚刺激システムを用いて向網膜ニューロンの反応特性の電気生理学的測定を行い,次のような特性を明らかにした.向網膜ニューロンの受容野の外側には視野全体に広がるような非常に広い抑制野が存在した.その抑制野への刺激は,受容野刺激による反応を強く抑制した.このことから向網膜ニューロンが広域的に相互に強く抑制し,一種の競合装置となっていることが明かとなった.
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