Research Abstract |
今年度は,本研究の第二段階として,昨年開発したプロトタイプモデルの改良作業を行なった。まず,農耕セクターについては,農耕人口・耕地拡大・生産性の関係に着目し,技術革新ではなく人口増加が農耕の労働集約性を高めたとする(Boserup,1965)の仮説を検証するテストモデルを作成,シミュレーションを行い,仮説の有効性とその限界性を明確にした。また,狩猟採集セクターについては,この農耕セクター改良作業からの知見を下に,(Hassan 1981)らの気象変動仮説の再検討を行い,その問題点を明らかにするとともに,人口密度と労働生産性に着目したテストモデル作成,狩猟採集社会から農耕社会が内発的に発生するメカニズムを解明した。さらに,これら生産セクターの改良作業の結果を元に(Harris1989)らの最適食域理論を人口密度と労働生産性の変化という観点から一般化することに成功,次年度の最終モデルに向けた有力な展望を得ることができた。 これらの成果は,『第2回 日本情報考古学会』(96年8月:文部省統計数理研究所),『第2回 シンポジウム-人文科学における数量的分析』(97年3月:文部省統計数理研究所)『第3回 日本情報考古学会』(97年3月:帝塚山大学)において発表した。また,改良作業と平行して,プロトタイプモデルの英語版を作成,1996年8月からパッケージの無料配布を開始しするとともに、昨年度の成果を論文化し『情報考古学』VOL2(1)に掲載した。現在,これらの成果を発信するためのホームページを開設・運用する準備を進めている。
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