Project/Area Number |
08212206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
伊藤 真之 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (40213087)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 超新星 / X線天文学 / 超新星残骸 / 大マゼラン星雲 / 恒星 / パルサー / 中性子星 |
Research Abstract |
1987年に大マゼラン星雲で爆発した超新星SN1987AをX線天文衛星「あすか」によって観測し、X線を検出した。SN1987Aの周辺は、広がったX線放射を含め多くのX線源が分布しており、「あすか」の角分解能ではSN1987Aを単独で完全に分離することはできないが、香村、宇野らがSN1993Jの解析のために開発したアルゴリズムを用いて、超新星の強度/スペクトルを評価した。1995年4月、11月、および1996年11月の超新星のX線光度は、10^34erg/秒程度で、これまでの「あすか」の解析から得られた統計誤差、系統誤差の範囲では、この間の有意な強度変化はない。X線の起源については、(1)超新星爆発の際中心に形成されたと考えられている中性子星からのパルサー放射、(2)数万km/秒の高速で膨張しつつある超新星の放出物質が、爆発前の星の質量放出によって形成された星周物質に衝突して生じる熱的放射などの可能性が考えられる。観測されたX線のスペクトルが比較的軟らかいことから、X線が中心に形成された中性子星からの放射である可能性は低い。また、パルサーの放射であれば、X線の時間変動に周期性が期待されるが、時間変動の解析の結果、周期性は検出されていない。以上のことから、X線は超新星放出物質と星周物質の相互作用によって生じていると考えられる。ROSAT衛星の観測結果からは、1991年の検出以来、一定の割合での増光が観察されており、星周物質の分布は一様であるとして矛盾ない。政井、野本の示した、均一な媒質中を膨張する超新星残骸からのX線放射に対する解析的な強度予測との比較から、星周物質の密度は30amu/cm3程度であると推定される。さらに、超新星放出物質がこのような星周物質で減速を受けつつあるとすると、ハッブル宇宙望遠鏡などによって観察された、超新星をとりまくリングに達するのは爆発から15年後程度の時期と推定される。
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