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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
火砕流の爆発・運搬過程のケーススタディを後期鮮新世の七ツ森カルデラ噴出物で行った。宮城県黒川郡大和町に位置する七ツ森カルデラは,七つ森などの溶岩円頂丘群が形づくる直径8kmの環状配列で特徴づけられる。カルデラ噴出物の大部分を占める宮床凝灰岩は,泥質な様相のマトリックスを持ち,塑性変形を受けた基盤シルト岩のメガブレッチャを特徴的に含み,マグマと外来水の反応や,カルデラ壁の崩壊を強く示唆している。 カルデラの陥没を伴う火砕流噴出が起こった証拠として(1)カルデラを埋める厚い火砕流堆積物,(2)後カルデラ溶岩円頂丘(七ツ森)の環状配列,(3)凝灰岩を覆う湖成層の存在,(4)カルデラ崩壊礫岩の存在,(5)負のブ-ゲ-重力異常があげられた。しかし再生ドームは活動は見られない。 火砕流の本質物質の軽石は複輝岩デイサイトでシリカ含有量は64重量%から71重量%の範囲である。石英斑晶の有無と化学組成から3つのグループに分類でき,地理的分布もやや異なるので,少なくとも3回の組成の異なるマグマ噴出が推定される。しかし野外の凝灰岩の産状,岩相では明瞭な違いは認められなかった。 火砕流の噴出中心の一つとして,溶岩円頂丘の笹森山の中腹に火道角礫岩が30mの幅で露出する。凝灰岩に含まれる石質岩片や軽石の粒径分布の結果は,環状カルデラ位置での粒径極大を必ずしも明瞭に示さなかった。宮床凝灰岩は泥質なマトリックスやシルト岩片を含み,粘性が高く,石質岩片の淘汰が悪い火砕流のケースであると考えられる。 宮床凝灰岩は露頭単位で1m以上のシルト岩ブロック,最大数十cmの石質岩片,数cmの軽石が含まれているが,顕微鏡サイズ(mmオーダー)でもこれらの包有物が認められ,粉砕過程を考察する上で重要な制限を加える。石質岩片は露頭としては観察されず,古い火山体や火道の岩石起源の火山岩であろう。
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