凝縮相における有機ケイ素化合物の光物理・光化学過程
Project/Area Number |
08218211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平塚 浩士 群馬大学, 工学部, 教授 (00016156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥津 哲夫 群馬大学, 工学部, 助手 (20261860)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | ベンジルトリメチルシラン / レーザー光分解 / ラジカル / ジフェニルメタン / 転位中間体 |
Research Abstract |
本年度はベンジルシラン、シリルジフェニルメタン類のナノ秒レーザーフォトリシス法により、過渡吸収および過渡発光スペクトルを測定して、光ダイナミックスを研究した。その結果ベンジルトリメチルシランはメタノール中でベンジルラジカルと三重項分子をレーザーパルス内に生成するが、シクロヘキサン中では三重項分子のみを生成することが分かった。この結果は77Kにおけるベンジルトリメチルシランの光分解の結果と良く対応している。一方トリメチルシリルジフェニルメタンに対してはジフェニルメチルラジカルや三重項分子による吸収は観測されず、約20msの比較的長い寿命を持ち、酵素によって消光されないブロードな吸収が観測された。この吸収はトリメチルシリル基がオルト位に転位した転位中間体に帰属出来、光分解生成物のGC-MS解析の結果もこの帰属を支持した。これらのことから、ベンジルトリメチルシラン、トリメチルシリルジフェニルメタンさらにトリエトキシシリルジフェニルメタンのレーザー光分解において、ベンジルラジカル、ジフェニルメチルラジカルまたはオルト転位中間体が生成することが確認された。さらに2段階レーザー励起法により、このトリエトキシシリルジフェニルメタンから生じたジフェニルメチルラジカルの発光寿命は140nsとジフェニルメチルクロライドから得られたジフェニルメチルラジカルの発光寿命よりも短いことから、得られたジフェニルメチルラジカルはトリエトキシ基とラジカル対をなしていることが明らかになった。以上よりベンジルシラン類の光反応ダイナミックスにはSi原子が正に帯電したシリルラジカルと、ベンジル基が対をつくる特異な構造を持つ反応状態が重要な役割を果たしていることを明らかに出来た。なお、この特異な構造をもつ反応状態はPM3法によって計算されたものであり、対応する炭素化合物には見られないベンジルシラン類に特有な状態である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)