樹木状分子のナノスペース内で完全孤立化したポルフィリン錯体の光反応ダイナミックス
Project/Area Number |
08218213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 卓三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00167769)
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Project Period (FY) |
1996 – 1997
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | ポルフィリン錯体 / デンドリマ- / 電子移動 / 人工光合成 / 超分子 / 光機能性材料 |
Research Abstract |
本研究では、樹木状三次元立体構造を有するデンドリマ-ポルフィリン錯体を用いて、その光反応ダイナミックスを検討すると共に、光合成の人工実現することを意識した「光誘起電子移動」に関する研究を行うことを目的としていた。 本年度はデンドリマ-組織によるポルフィリン錯体の孤立化について詳細な検討を行った。その成果: (1)デンドリマ-ポルフィリン錯体の内部・外部環境-生卵のような構造特徴:メトキシ基表面を有するデンドリマ-ポルフィリン錯体亜鉛とデンドリマ-イミダゾールとの相互貫通作用を検討したところ、デンドリマ-組織の大きい4、5世代では、ポルフィリンコアはデンドリマ-組織により孤立化されていることが明らかにされた。このことは、NMR緩和時間測定、即ち、デンドリマ-ポルフィリンの運動性についての検討からも支持された。表面メトキシの緩和時間は世代が大きくなるにつれて、急激に短くなったが、コアのポルフィリンはデンドリマ-サイズに依存せず、一定であった。以上、デンドリマ-ポルフィリン錯体は「硬い殻に包まれた生卵」のような構造的特徴を有すると結論された。 (2)デンドリマ-組織を通した光誘起電子コミュニケーション:アニオン性表面を有する水溶性デンドリマ-ポルフィリン亜鉛錯体を設計し、メチルビオロゲン電子受容体との相互作用を調べたところ、デンドリマ-サイズの小さな錯体では、電子受容体がコアに侵入し、基底状態において亜鉛ポルフィリンと直接と相互作用するが、デンドリマ-組織の大きいものでは、そのような相互作用は全く起こらないことが明らかにした。このことは、デンドリマ-組織により光合成においての電荷分離状態を長寿命化することが可能であることが示唆された。 (3)デンドリマ-組織により鉄ポルフィリン錯体の孤立化-ヘムタンパク機能を人工実現への新たなアプローチ:デンドリマ-を置換基とする新たな鉄ポルフィリン錯体を分子設計し、疎水性のデンドリマ-鉄ポルフィリンにより可逆的な吸脱着を実現した。酸素捕捉錯体は、サイズの大きなデンドリマ-組織により活性部位が疎水的に保護されているため、水が存在しても、酸素捕捉錯体は長寿命であった。さらに、サイズが最も大きな酸素捕捉錯体は一酸化炭素中においても、長い半減期を示した。この結果、デンドリマ-ポルフィリン鉄錯体によりヘムタンパクの酸素捕捉機能を単分子レベルで実現した。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)