Project/Area Number |
08218233
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮坂 博 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (40182000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 泰之 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (00283698)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 電子移動 / 過渡二色性 / ホール移動 / 回転緩和 / ピコ秒分光 |
Research Abstract |
溶液は多くの化学反応において最も一般的な反応場であり、反応の選択性を決める溶媒の因子に対して、多くの研究がなされてきた。本研究では、ピコ秒過渡吸収二色性を測定することにより、溶液中で分子間電子移動によって生成するイオン対状態の相互構造の緩和過程に対する溶媒効果を検討した。また、これらの知見を基に溶液中の芳香族高分子系の側鎖間のホール移動反応について同様の手法を応用した。 1.イオン対状態の回転緩和過程、基底状態で電子供与体(D)と受容体(A)の間で弱い電荷移動(CT)錯体を形成する種々の系を用い、溶液中でCT帯を選択励起し、生成したアニオン及びカチオンの回転緩和を観測した。(なお、D及びAは多環芳香族化合物を中心に用いている。)その結果、カチオンやアニオンそれぞれの回転緩和時間は実験誤差内で一致し、イオン対は相互の相対配置を保ったまま回転拡散を行う事がわかった。更に、溶媒の極性や粘性のイオン対の回転緩和に与える影響を検討した結果、誘電摩擦が理論的に予測されるよりは、かなり効果的に作用していることがわかった。 2.溶液中の芳香族高分子の側鎖間のホール移動反応への応用 側鎖に芳香族基を持つビニルポリマーには、光電導性を示すものが多い。このメカニズムは、(1)光励起によって生成した励起分子(芳香族基)がイオン化あるいは固体中にドープされた他分子との電子移動反応により電荷分離状態を生成し、その後、(2)カチオンあるいはアニオン状態が近接の中性分子(芳香族基)に、次々と電荷シフト反応を行うとする“分子間"の電子移動反応素過程の組み合わせとして考えられる。このような光電導過程に関連した最も重要な過程は、側鎖の同種芳香族基間の電荷シフト反応(ホッピング過程)である。本研究では、過渡吸収二色性の測定を応用し、溶液中の高分子の側鎖間の電荷ホッピング過程の速度を直接的に決定しその速度を支配する因子を検討した。その結果、かさ高い側鎖を持つポリマーほどホール移動反応が大きいという結果が得られ、側鎖間のelectronic tunneling matrix elementの大きさが、ホール移動過程には重要な役割を果たしているということが判明した。更に温度効果の検討から、このような高分子系の側鎖間のホール移動に対しては、側鎖の小さな回転運動に対応した運動が、重要な揺らぎのモードになっていると考えられる結果が得られた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)