極性溶媒のキノン類分子に及ぼす電場効果と光反応ダイナミックスへの影響
Project/Area Number |
08218250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小柳 元彦 琉球大学, 教育学部, 教授 (00037201)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | p-ベンゾキノン / 溶媒Stark効果 / 近接したnπ^*準位 / バンド幅効果 |
Research Abstract |
液相溶媒中の局所電場は、外部Stark電場に比べて桁違いに大きいと予想される。単結晶や混晶中のp-ベンゾキノン(PBQ)やp-アントラキノン(AQ)の場合は異方性のある微細構造スペクトルが得られるが、液相溶媒の中では分子の揺動を反映して、ゲスト分子の周りの場は極めて不均一である。これらキノンの可視領域の二つの近接した^1nπ^*←S_0電子スペクトルは共に禁制であるが、Stark電場摂動によって混じり合う。これらは溶媒Stark効果という立場から論じることが可能である。無極性溶媒中におけるPBQの可視領域の吸収スペクトルはいくつかの有力な振動構造が現れてるが、これは大きい双極子モーメントをもつアセトニトリル中では殆ど消えてしまう。このバンド広がりの効果は他のいくつかの有極性溶媒を使って調べてみた結果、かなり一般化できる。これら有極性溶媒中でのPBQゲスト分子に対する有効な局所電場は、少なく見積もっても〜10^6V/cmはあり、現実的な意味で到達できる無極性液相中の電場の大きさの10倍以上は高い値である。現在までに到達出来たヘキサン中の電場は45KV/cm程度であり、この程度では明確なバンドbroadeningは検出されなかった。バンド広がりモデル実験検出のためには少なくともこの5-6倍の電場が実際上必要だろう。液相溶媒中のスペクトルからは有・無極性溶媒中のスペクトル比較法により、局所的な情報が得られるという利点がある。PBQは対象性も高く、格好のホスト分子である。AQも全く同様の議論が可能であるが、近接した強い吸収スペクトルの存在のため、PBQほど明確な結論は示せなかった。溶媒摂動による電子準位間のlevel tangling化は、高エネルギー域にある光化学反応に活性な電子準位の間でも予想され、状態密度の広がりとして光反応ダイナミックスへ寄与してくると考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)