モデル膜を使用した溶血性タンパク質の膜チャンネル(超分子)形成機構の研究
Project/Area Number |
08219203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨田 敏夫 東北大学, 農学部, 助教授 (00126129)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 膜チャネル / 溶血毒素 / 担子菌 / ヒラタケ / 超分子 |
Research Abstract |
溶血性タンパク質の中には、標的細胞の膜に"穴"(膜チャネル)を形成するタンパク質が存在し、チャネル形成タンパク質と呼称されている。チャネル形成タンパク質は、水溶性タンパク質として単離されるが、細胞膜へ結合した後にはあたかも膜タンパク質であるかのごとく挙動する。すなわち、この種のタンパク質は、生体膜との相互作用により両親媒性を獲得して膜へ結合し、膜の表面において互いに集合して膜チャネル超分子を形成する。本研究では、我々が担子菌の一種ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)の子実体に見いだした二成分性溶血素、POHを取り上げて、2種類のタンパク質が膜の表面で集合してチャネル超分子を形成する仕組みについて解析した。ヒラタケの子実体抽出液から種々のカラムクロマトグラフィを等電点電気泳動法を組み合わせてヒラタケ溶血素の二成分、POH-A (15kDa)およびPOH-B (59kDa)を精製した。POHは赤血球内の低分子の流出を起こし赤血球を膨潤させることなどから、POHはチャネル形成毒素であると推定された。ヒト赤血球にPOHが形成する膜チャネルの大きさを測定した結果、POHは直径4nmの親水性チャネルを形成する事実が示された。この膜チャネルの分子的実体を解明するためにPOHの膜結合性を調べた結果、(1) A成分はスフィンゴミエリン結合タンパク質であり、(2) A成分が赤血球膜へ結合した後にB成分が結合して、(3)両者は赤血球膜の表面において集合して>700kDaのA-B複合体を形成する事実が明らかになった。このA-B複合体超分子が膜チャネルの分子的実体であると考えれる。溶液中では共存していても互いに結合しないPOHの二成分は、脂質膜の表面においては効率的に集合して機能性超分子を形成することが明らかにされた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)