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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
ペプチド-脂質超分子複合体ポアの形成機構を明らかにするため,種々の両親媒性ペプチドと各種脂質との相互作用を蛍光及び円二色性スペクトル法により検討した.ペプチドとしてはアフリカツメガエル由来の生体防御ペプチドであるマガイニンをリ-ド化合物とし,異なった電荷(0-6+)を持ついくつかの誘導体をFmoc固相法により合成した.精製には本研究費で購入したゲル濾過システム(送液ポンプ・UV検出器・フラクションコレクター)を使用した.スズメバチ毒のマストパランXは市販品を用いた.いずれのペプチドも電気的に中性なホスファチジルコリン膜とはほとんど相互作用しなかったが,酸性リン脂質には結合し,また,結合性はペプチドの正電荷と相関していたことから,膜結合性には静電的相互作用が重要であることが明らかとなった.マガイニン誘導体の正電荷を大きくすると,超分子ポアの寿命が減少し,その結果,6+ペプチドは4+ペプチドより強い結合性を示すにもかかわらず,膜透過性の増大能は逆に低下した.しかし,6+ペプチドはポア寿命が短いため,効率よく膜を透過し内在化された.このように,ペプチド電荷の修飾により脂質膜との相互作用が人為的に制御できることが明らかとなった.さらに,マストパランXも,マガイニン同様,ペプチド-脂質超分子複合体ポアを形成し,互いにカップリングしたペプチド・脂質・イオンの膜輸送を引き起こすことが明らかとなった.このことから,超分子複合体ポアの形成が,普遍的な現象であることが示唆された.
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