Project/Area Number |
08220210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
重川 秀実 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (20134489)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 希土類 / DNA / 光電子分光 |
Research Abstract |
イオンを一種類づつ用いた場合、DNA切断に対しては、Ce(IV)が特に強い反応特性を示す。反応下での電荷移動に関する情報を得る目的で、燐酸ジフェニルと各元素により形成される錯体のXPS測定を行った結果、Ce(IV)の場合のみ、Pの2p軌道の結合エネルギーは高エネルギー側にシフトし、Pから電子が奪われるという結果が得られた。電荷移動には、2:1以上の混合比であることが必要で、実際の切断反応において、活性な特性が、同様に混合比が2:1以上で生じることと対応している。また、最近の、理論計算でも、1:1の比では、切断が生じないという結果が報告されており、少なくとも2原子以上の錯体が切断反応に対して効力を有する可能性が高い。 異なる2種類の原子を混合させて用いる系では、Ce-Pr混合系で触媒活性がCe(IV)単体の場合の10倍程度になる。光電子分光を施した結果、Prを加えることにより、P2pの高エネルギー側の成分がCe単独の場合より、〜0.25eV、高エネルギー側にシフトすることが明らかになった。従って、Prの存在によりCeの活性部位が変化し、P原子からより電子を奪うことにより、次段階での求核攻撃を活性にするといった切断機構が考えられることになる。また、Fe-La系の場合も、単独の系による場合の結果と比べて、P2pの高エネルギー側の成分が〜0.3eV、より高エネルギー側にシフトする結果が得られた。以上の結果を単一原子系の場合と比較すると、切断反応にはPから電子を奪う最適な構造が重要な役割を果たしている可能性が高い。 一方、Ce,Ce-La系に関するフェルミレベル近傍の変化を調べた結果、Ce-DPPの系で同準位近傍の電子密度が増加し、反応が進行している様子が見られたが、反応の押さえられるCe-La系では同準位の電荷密度の減少が起こり、反応が抑制されている様子が観察された。
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