Project/Area Number |
08221212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 清明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00092560)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | X線回折法 / X線原子軌道解析 / X線分子軌道解析 / idempoteency / 多重反射 / 二中心散乱因子 / 二中心温度因子 / 真空カメラ |
Research Abstract |
本研究の目的は、(1)X線分子軌道解析を行いうる高精度X線回折強度測定法を開発し、(2)回折X線強度を、軌道関数間の規格直交条件を満たす最小二乗法で解析し、結晶中の原子軌道(AO)または分子軌道(MO)を求め、(3)基底状態の全物性をX線回折法で求める方法を確立することである。 X線分子軌道解析法の開発はほぼ終了し、以下の成果があがった。(1)X線分子軌道解析では、相異なる二原子のAOの積に対応する二中心散乱因子が必要となるが、二中心散乱因子が測定誤差以上である反射の数が、未知係数の数の2倍は必要である。(NHCHO)_2では約900反射がこの条件を満たす。(2)二中心電子に対応する温度因子を定式化した。(3)ガウス型関数(GTF)からなる基底関数は、原子核近傍ではAOと一致しないので、一般に使用される6-31G等の基底関数は、原子核近傍の電子密度は説明できない。そこで、Hujinaga等の作成したwell-tempered GTFを使用すると、R-因子は低下し、原子核近傍の残差電子密度は著しく小さくなった。 多電子分子になると多くの基底関数を必要とする。X線分子軌道解析を多電子分子でも行うには、測定法の改善と補正法の改良が必須である。本研究では(1)低温回折強度測定法を改善した。また、(2)同時反射が無視できないことを発見し、これを実質的に避ける強度測定法を確立した。更に(3)内部にイメージングプレートを貼付した、10^<-2>mtorr程度の真空下で迅速精密回折強度測定を可能にする真空カメラを試作した。直径50μmのKNiF_3結晶では、2θ<150°の反射強度を210分で測定できた。空気散乱によるノイズが無視でき、微小結晶の測定も可能であるので、系統誤差の小さい測定が可能になった。高輝度な平行光束である放射光を使用すると、測定時間は短縮でき、吸収効果、消衰効果の影響が無視できるほど小さな結晶の強度測定が可能になり、同時反射の生起する確率は劇的に低下する。次世代の放射光の利用により、測定精度の一桁の向上も可能である。
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