固体重合反応に伴う結合状態変化の電顕法による化学マッピング
Project/Area Number |
08221215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 孝史 京都大学, 化学研究所, 教授 (50027059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯田 正二 京都大学, 化学研究所, 助教授 (00168288)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 高分解能 / 電子線エネルギー損失分光法 / 有機結晶 / 化学反応 / 結合状態マッピング |
Research Abstract |
有機結晶環境下での多様な化学的反応機構の解析は、新しい結晶化学の開拓につながるものであるが、その反応を多方面から解析することが必要であると思われる。そこで、固体での化学反応の開始地点の同定や進行状態の解析方法として、ミクロな立場から情報を得ることのできる顕微鏡法による解析を我々は提案した。そこでは、従来の電子顕微鏡法の延長である高分解能分子結像法と有機結晶での反応の新しい解析手段として電子線エネルギー損失分光法による試料内の結合状態のマッピング法を提案した。 (1)高分解能電子顕微鏡法は、分子オーダーでの構造を明らかにできる方法として、広く認知されてきている。有機固相重合での構造的な問題は、重合がどのような場所から始まり、重合はどのように進行するか、重合前後の結晶学的な関係などがある。これらについて研究するため、ジアセチレンの熱重合と放射線重合について高分解能電子顕微鏡による研究を行った。この研究の結果、重合反応での反応開始点の位置や頻度が、生成するポリマー結晶の形態に大きな影響を与えることや、熱的な重合反応ではモノマー結晶の表面が重要であることを示している。 (2)電子線エネルギー損失分光法を利用した結合状態マッピング法 電子顕微鏡法は単に空間的な原子の分布状態を知る方法としてだけでなく、極微領域の状態分析も行えるようになってきた。その中の一つの方法として、電子線エネルギー損失分光法がある。試料へ入射した電子のうち、ある原子を励起し自身はその分だけエネルギーを失った電子を損失エネルギーの関数として分光すると、試料内の元素分布・元素の電子状態・近接原子の空間的分布などの分析が可能である。この方法はX線分光法に較べると、低元素の検出と高い空間分解能にその特徴があり、有機結晶の分析に威力を発揮すると期待できる。また、更に、分光学的に得られるスペクトルのうちある特定の相互作用による損失エネルギーの部分だけを取り出し再結像することで、その相互作用を引き起こした場所を像の中で特定することもできる。特に、有機結晶の固相反応での状態変化の研究では、原子の結合状態変化をマッピングすることで反応の進行状態を可視化できる。結合状態の違いはスペクトルの吸収端での微細なスペクトルの変化として現れ、それをスリットで切りわけ結像する。このようなマッピング像観察のシステムを、1000kV透過型電子顕微鏡に装備し、そのマッピング像の空間分解能は、最良の条件では1nm以下である事を確かめた。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)