Project/Area Number |
08221227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
北浦 和夫 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (30132723)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ペアポテンシャル / 多体ポテンシャル / 有機結晶の構造計算 / 分子性結晶の構造計算 / パッキング構造 / ab initio MO |
Research Abstract |
最近、我々は分子間ポテンシャルとしてab initioペアポテンシャルを提案した。このポテンシャルは、ab initio MO法でポテンシャルを計算する方法であり、従来よく用いられたきた経験的ポテンシャル関数とは異なり、任意性のあるパラメータを一切含まない。さらに、分子ペアのハミルトニアンにまわりの分子からの静電ポテンシャルを加えることで多体多体ポテンシャルを高い精度で計算できる方法である。本研究では、我々のペアポテンシャルを有機分子の結晶構造計算に応用して、計算精度や計算時間など実用面からその有効性を検討した。結晶構造の計算では、(1)格子エネルギー最小化法を用いて、格子ベクトルと分子配向の合計9個の構造パラメータを最適化する、(2)セルの並進対称性を仮定し、ユニークな分子ペアのみ計算する、(3)相互作用のカットオフを行う、(4)まわりの分子からの静電ポテンシャルを、原子上の点電荷を用いて近似計算する、(5)分子間で最近接の原子間距離がvan der Waals距離の和の2倍以上離れている分子ペアについては、点電荷近似による静電相互作用で近似する、など高速計算を行うための工夫を行った。本方法で、アセチレン、エチレン、ベンゼンの結晶構造の計算を行った。分子ペアについてのab initio MO計算は、3-21G基底関数を用いてMP2法で電子相関を考慮したレベルで行った。相互作用のカットオフは20Aとし、約600分子を計算対象とした。計算結果は、アセチレンの既知の二つの多形のうちの高温相を除いて、格子エネルギーおよび構造パラメータについてすべての系で満足できる精度で実験値を再現できた。アセチレンの高温相は、ポテンシャルの極小構造ではなく動的な平均構造である可能性があり、現在、さらに解析を進めているところである。なお、計算時間は、ベンゼンの場合で、HP9000/715ワークステーションで約2週間であった。以上述べたように、我々のab initioペアポテンシャル法は、計算精度と計算時間の両面から、結晶構造の計算予測法として非常に有望な方法であることが明らかとなった。
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