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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
光の波長程度のスケールをもつ周期的または乱雑な誘電体構造中の光の振る舞いに関して,本研究において主に以下の三つの成果を得た. 1.光劣化および試料の不完全性などによる光散乱が軽減された,欠陥層を含む一次元フォトニッククリスタルを新たに作製した.その非線形光学効果の増強度を調べるため,縮退四光波混合波の発生を試みた結果,裸の非線形フィルムに比べて数10倍の発生効率の増大が確認された.理論的考察では1000倍程度の発生効率の増大が期待され,現在試料の作製法の改善および種々のパラメータの最適化に努力を続けている. 2.多孔質ガラスなどの乱雑媒質中の光の輸送現象について,広いサイズパラメータの領域にわたり,輸送平均自由行程や拡散係数,輸送速度などを詳しく測定した.現在このような乱雑媒質における光の輸送現象は主に,粒子描像的な独立散乱体近似を用いて論じられているが,その取り扱いの問題点を明らかにするとともに,波動描像を第一原理的に取り入れた乱雑媒質中の光の輸送現象理論を構築し,系全体のエネルギー保存に対応するワード・高橋恒等式が満たされる条件の下で,実験とほぼ一致する結果を得た. 3.光の伝搬特性をより高い時間分解能で観測するため,異なったスペクトル応答特性をもつ三種の光検出器を同時に用いることによって,白色光マイケルソン干渉計で有効に使い得るスペクトル領域を広げた.このことによって光波の時間波形を可視光のモノサイクルに対応する時間分解能で観測することに成功した.
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