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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
高密度に成長させた自己形成半導体量子ドットの単一ドットスペクトル測定に成功した.低温における均一幅の評価からキャリア(励起子)の緩和過程を考察し,0次元系における励起子コヒーレンスについて議論をおこなった. 不均一なサイズ広がりをもつInGaAs量子ドット系に対し,近接場光学顕微鏡による高分解能観察を試みた.その際,(1)弱励起下における線形領域でのスペクトル測定をおこなう,(2)キャリアの拡散による分解能の低下を避けるために,局所励起,局所検出を同時におこなう,の2点を達成するためにファイバプローブの高感度化を積極的に進めた.クライオスタット中で動作する近接場光学顕微鏡システムを作製し,測定はすべてヘリウム温度下でおこなった. 高感度微小開口プローブを用いることにより,200nmの分解能を達成し,同時観測ドット数を10個程度にまで制限した.発光スペクトルを測定した結果,従来のファーフィールド観察では得られない,スパイク構造が見い出された.さらに,その1つ1つの構造が単一ドットからの発光スペクトルであることを定量的に確認した.また,検出波長を選択し,プローブを2次元的に走査することにより,選択された発光波長をもつドットの空間的な分布を観測した. 単一ドットからの発光スペクトルの均一幅としては,1〜2meVが得られた.これは,測定温度における熱エネルギーよりも大きな値となっている.高さの低い量子ドットに対して,他のグループが非常に狭い均一幅を得ているという結果と比較すると,ドットのサイズが均一幅を決定する重要な因子になっている可能性が指摘できる.ドットの高さが高くなるに従い,0次元系の特徴が失われていき,エネルギー準位構造,フォノンとのカップリングなどの変化が,励起子コヒーレンスに大きな影響を与えていると考えられる.
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