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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
放射光を用いた核共鳴散乱では,従来のメスバウアー分光のカバーできない非弾性核共鳴現象,例えば,固体中の^<119>Snのフォノン励起を伴う核共鳴吸収現象が観測される。試料の温度が上昇すると,この現象が顕著に現れ,同時に弾性的核共鳴吸収の強度が減る。試料が液体に相転移したとき,共鳴核は固体中の振動から,液体中の運動になり,核共鳴吸収のプロファイルはガウス型から,ローレンツ型に変わっていくことが予測される。また,もしも金属液体の中に格子振動的なものが残っていれば,吸収プロファイルの裾にフォノンの構造も観測されると予想される。 我々はパルス放射光を用いて温室における^<119>Snの前方散乱とインコヒーレント散乱の核共鳴信号を同時に測定した。前方散乱のスペクトルはX線分光装置の装置関数と核共鳴エネルギーの位置を与える。インコヒーレント散乱のスペクトルは装置関数に比べて,幅広く,特に高エネルギー側に広がっている。これは金属錫のラム・メスバウアー因子(f)が小さいことによる。錫のデバイ温度は約200Kで,f因子は0.3以下である。fが小さいと,非メスバウアー核共鳴が起きやすく,インコヒーレント散乱のスペクトルは核共鳴励起と共に生じたフォノン励起(Ophonon⇒1 phonon)の核共鳴現象に対応する。 試料の温度が高くなると,f因子が更に小さくなり,^<119>Sn前方散乱のスペクトルのスペクトルが観測されにくくなる。また,高温になると低エネルギー側が膨れ上がり,特に融点が越えるとその変化が大きい。それは^<119>Snの核共鳴吸収は1フォノン消滅(1 phonon⇒0 phonon)を伴ったものに対応する。この現象は,固体では,高温になると起こりやすく,融解の相転移の後,単純液体の場合では,核共鳴吸収のプロファイルはローレンツ分布になる。実験結果はその予想とは異なり,金属Snは融点が越えた250度の時でも,その核共鳴プロファイルはローレンツ型にならず,何らかの原因で低エネルギー側の共鳴吸収がエンハンスされる。
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