Project/Area Number |
08226205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
吉原 章 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (40166989)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | ブリルアン散乱 / ガラス転移 / 広帯域感受率 / α緩和 / 速い緩和 / 音速分散 / 粘弾性緩和 / モード結合理論 |
Research Abstract |
ガラス形成液体プロピレングリコール(C_3H_8O_2:PG,ガラス転移温度T_g=164K)における液体-ガラス転移のダイナミクスを解明するために、ラマン散乱とブリルアン散乱を組み合わせた広帯域非弾性光散乱法を用いて研究した。本研究により、次の成果が得られた。 1)広帯域光散乱(VH偏光)を用いて、363Kから240Kの温度範囲について、1GHzから6000GHzまでの振動数範囲における動的感受率の測定を行ない、PGの動的感受率がα緩和、速い緩和及びボソンピークの重ね合わせにより再現できること、及びα共鳴振動数はVTF則に従うが、速い緩和とボソンピークの共鳴振動数は温度に依存しないことを明らかにした。本研究で観測された速い緩和はモード結合理論(MCT)におけるβ緩和に対応すると考えられる。α緩和と速い緩和から再構成した動的感受率を極小振動数及び強度でスケールし、MCTによる解析を行なった結果、エルゴード・非エルゴード転移温度T_c〜200Kを得た。 2)VV偏光ブリルアン散乱により、363Kから140Kの温度範囲において、音波モードの振動数と半値幅の測定を行ない、GHz帯超高周波音波モードに音速分散が存在することを確認した。この音速分散を従来から用いられてきたコール・デヴィドソン(CD)型粘弾性緩和を仮定して解析すると、T_c〜314Kが得られ、広帯域感受率測定から評価されたT_cと大きな食い違いを生じる。このことは、MCTの枠内で音速分散を議論する場合、音速分散に対してCD緩和関数が悪い近似になっていることを意味する。そこで、音速分散の解析に広帯域散乱測定から決定したα緩和と速い緩和の動的感受率を含めた解析を試みた。その結果、T_c〜213Kが得られ、MCTの枠内で広帯域感受率測定とほぼ一致する結果が得られた。
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