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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1996: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
液体は,一般に,均一,等方的な分子凝集状態と考えられており,過冷却状態におけるガラス転移温度はすべての分子が動かなくなる温度とみなされている。我々は,過冷却状態では“液体は秩序構造クラスターの凝集体である"と考える立場から研究を進めた。 1.4種の過冷却液体に関する熱測定により,αガラス転移とβガラス転移が常に対として存在し,α過程はクラスター内分子の再配置運動,β過程はクラスターに含まれない分子の再配置運動であることを指摘した。 2.柔粘性結晶シクロヘキサノールの熱容量測定により,α過程とβ過程は純物質においてさえ複数組現れる可能性を示し,組の違いは分子再配置モードの違いにあることを指摘した。これは従来の分子再配置運動モデルの矛盾点を指摘するものである。 3.フラジル性(緩和時間の非アレニウス性)が異なる数種の液体についてガラス転移温度近傍で不可逆的エンタルピー緩和過程の詳細を追跡し,またその計算機シミュレーションにより,構造緩和の非線形性が緩和時間の非アレニウス性にあること,さらに活性化エネルギー分布の形は緩和途中で変化することを指摘した。これは非平衡液体構造に対する仮想構造温度の 4.結晶胚(核)は一種の秩序構造クラスターとみなすことが可能であり,結晶核生成速度はクラスターの回りの分子の再配置運動特性時間すなわちβ過程緩和時間により支配されることを指摘した。実際にαガラス転移温度以下で結晶核生成が進行することを発見するとともに,oーターフェニルの核生成主導結晶化結晶面成長速度の解析からその速度がα過程緩和時間ではなく,β過程緩和時間により支配されていることを実証した。
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