酸化物溶融塩の結合性と短中距離相関及びダイナミックス
Project/Area Number |
08226232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 信一 九州大学, 理学部, 教授 (10111733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川北 至信 九州大学, 理学部, 事務員 (50264015)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 溶融塩 / ダイナミックス / 結合性 / 超音波吸収 / 粘性 |
Research Abstract |
イオン性液体おける結合性と構造及び動的性質の相関を調べる研究が急を要したため溶融塩混合系Ag(Cl_<1-X>I_X)の超音波音速吸収,EXAFS測定及び中性子回折実験を行った。溶融塩AgIの超音波吸収は融解後、温度の上昇と共に減少する大きな温度依存性を示すが、AgClの場合は超音波吸収の値はほとんど温度変化しない。これはAgClが主としてイオン性の結合であるのにたいし、AgIはイオン性に加えて共有結合性が強いため液体中でも四面体配位の局所構造を保つ事と、AgI間の結合性の強度の温度変化を反映しているためであると考えられる。このようにAgClとAgIは異なる結合性を示し、局所構造を自己主張し会う結果50mol%近傍で融点極小の、共晶点を有する相図となっている。この混合系の結合性の変化と局所構造、熱力学的性質、動的性質の関係について共晶組成を中心に研究を行った。 音速測定から得られた断熱圧縮率の組成変化は理想的な組成依存性に比べて小さい値を示し、混合系では圧縮されにくくなる事も示している。超音波吸収の温度依存性は、混合系特に共晶組成では融解直後はAgIより小さい値を示すものの温度の上昇と共に600℃近傍で極大値を示し減少していく非常に興味ある温度依存性の結果を得た。音速や断熱圧縮率では見えない変化が、音波吸収のような動的性質にはこのような興味深い温度変化として観測された。 Ag(Cl_<1-X>I_X)(X=0.1,0.57,0.8)溶融塩混合系の構造の組成変化及びAg(Cl_<57>I_<43>)の構造の温度変化を中性子回折装置を用いて測定した。溶融塩混合系Ag(Cl_<57>I_<43>)の構造因子は2.9A^<-1>の位置に大きな第一ピーク見られるが、その低Q側1.9A^<-1>に比較的鋭いプレピークが観測され、またさらに低Q側の裾には0.9A^<-1>に癌がみられ、中距離相関の存在を示唆している。これらの低温液体では0.9A^<-1>付近の癌及び1.9A^<-1>のプレピーク共に明瞭であるが、音波吸収が最大値を示す温度より高温領域ではそれらが広がり、2.9A^<-1>のピークとなだらかにつながるようになるなど構造が大きく変化してる。これらの二体分布関数は2.75Aに明瞭な第一ピークを有し、温度が変わっても位置は変化しないが、低温液体での4.3A付近にある広がった第二ピークが620℃以上の高温では温度の上昇と共に3.9A及び4.6A付近に分離し、大きく変化している。これは最近接のイオンの配位の様子は変化しないが第二近接のイオンの配位が温度の上昇と共に大きく変化していくことを示している。またEXAFS測定により得られた結果からこの混合系の部分構造の詳細に関しては現在解析検討中である。 イオン性と共有結合性とが拮抗している場合はこの様な興味深い温度変化をすると考えられる。超音波吸収測定と平行して現在この混合系のずり粘性の温度依存性を回転振動法で測定中である。定性的にではあるが超音波吸収が極大を示す温度領域でずり粘性の増大が観測されており、これから混合系での体積粘性率及び結合性との関係を検討中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)