強相関電子系における拡張されたAB周期と常伝導・超伝導・絶縁相の解明
Project/Area Number |
08227216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
草部 浩一 東京大学, 物性研究所, 助手 (10262164)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1996: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 常伝導・超伝導転移 / モット転移 / スペクトル・フロー / 強相関電子系 / AB効果 / ハバ-ド模型 / t-J模型 / 異常金属相 |
Research Abstract |
超伝導転移やモット転移といった電子系の相転移を特長付ける方法は古くから議論されてきた。例えば異常磁束量子化は強相関電子模型を解析する手段としても用いられているが、スピン状態に起因した異常磁束量子化が存在するなど必ずしも明白なテストでないといったように、1次元の朝永・ラッティンジャー(TL)流体論を除くと有効な手法はまだ少ないといえる。 我々は強相関電子系の電子対形成を観測する新たな方法として拡張AB周期決定法と呼ぶ方法を提案した。この方法は磁束の変化に対する基底状態のスペクトル・フローをレベル交差を超えて追跡し、その周期から電子対形成を捕えようというものである。フローの変化から絶縁体転移が捕えられることは知られていたが、我々は1次元ハバ-ド模型では常伝導・超伝導転移点(U=0)において、拡張周期が半減することをベ-テ仮説解から厳密に示した。さらに、一般の強相関模型への応用のための数値計算法を提案し、それを用いて種々の非可解模型に適用した。その結果、1次元t-J模型やt-J ladder模型では、拡張周期の半減がTL理論の与える超伝導転移点近傍で生じること,また1次元t-J-J′模型や1次元拡張ハバ-ド模型では半減する点は超伝導相内部の相分離境界に近い点に移るなどTL理論との整合性は悪くなるものの、有効引力の発生を反映した拡張周期の半減を系統的に示すことに成功した。同じ模型を異常磁束量子化で解析しても相境界を決定できないという事実と比較しても、この方法の有効性は示されたが、一般に拡張周期がク-パ-ペアの形成を捕えられるかどうかの証明はまだないなど、解明すべき点も残されている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)