分子動力学法、並びに中性子回折法による、アルカリイオン伝導に関する研究
Project/Area Number |
08229206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
重里 有三 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (90270909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安井 至 東京大学, 国際産学共同研究センター, 教授 (20011207)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 分子動力学法 / 中性子回折 / 混合アルカリ効果 / アルカリイオン / 内部エネルギー / アルカリ-酸素距離 |
Research Abstract |
ガラス中にアルカリイオンを二種類含ませると、アルカリイオンを一種類しか含まない場合に比べてアルカリイオンの移動度が極端に小さくなる。この様に、二種類のアルカリイオンを含むガラスが加成性から大きく外れた物性を示すが、その原因に関して一般的に受け入れられている理論はない。本研究は、コンピュータシミュレーションの一手法である分子動力学法と、中性子回折を中心としたガラスの構造解析の二つの方向からガラス中のアルカリイオンの挙動を探るとともに混合アルカリ効果のメカニズムを調べた。そ結果、混合アルカリガラス中でLi-0の結合距離分布は、別のアルカリ(Liより大きなイオン半径を持つ)の導入に従って変化することが判明した。すなわち、混合アルカリガラスに於いて、より小さいサイズのアルカリイオンと酸素の距離は単一アルカリガラスと比較して縮小し、より大きなイオンの場合は大きくなる傾向があった。このようなアルカリ-酸素間の距離の変化は、エネルギー的に安定な方向に作用している原因の一つであろうと考えられる。今回のMDシミュレーションにおいて、内部エネルギーを見積もったところ、すべての混合アルカリガラスに関して、加成性による値より小さい値が求まった。この値は、以前に溶解熱法により求められている、混合アルカリガラスのエンタルピの加成性からのずれの報告値とよい一致を示した。この様に、アルカリ-酸素距離の変化に起因していると推察される、混合アルカリガラス中のエネルギーの安定化が、「混合アルカリ効果」、すなわちガラス中に2種類以上のアルカリが存在することによるアルカリイオンのモビリティの著しい減少の原因の一つであろうと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)