Project/Area Number |
08230225
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
橋本 健朗 東京都立大学, 教養部, 助教授 (40202254)
|
Project Period (FY) |
1996
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1996: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | 溶媒和 / クラスター / 光電子分光 / ナトリウム / リチウム / 非経験的分子軌道法 / 電子状態 / 負イオン |
Research Abstract |
非経験的分子軌道計算により、1、Na及びLi原子負イオンの水、アンモニアによる溶媒和クラスターの光電子分光の解析と予測、2、Na_2のアンモニアによる溶媒和クラスターの電子状態の研究を行い、以下を明らかにした。(1)Na^-原子負イオンが水和する場合は、水分子が水素側からNa^-に結合する構造が安定だが、NH_3が溶媒和する場合はNa-N結合を持つ構造が安定である。(2)Li^--原子負イオンではH_2OはO側から、NH_3はN側から結合し、Li^--(NH_3)_nはNa^--(NH_3)_nと構造が類似しているが、Li^--(H_2O)_nの構造はNa^--(H_2O)_nと似ていない。(3)Na-(H_2O)_nクラスターでは負イオンと中性の水和構造の違いのため、負イオンと中性の水和による安定化の差がクラスターサイズの増加とともに広がるので基底状態への遷移の光電子スペクトルのピーク位置はnが増加により高エネルギー側にシフトするが、基底、励起状態への遷移に対応するピークの間隔はnが増えてもあまり変わらない。(4)Na^--(NH_3)_n,Li^--(NH_3)_n,Li^--(H_2O)_nクラスターでは、金属-窒素、酸素の結合が強く金属の価電子は溶媒和の進行とともに溶媒側に移動するが、移動した電子は非局在化して広がったRydberg型状態となっている。これらのクラスターでは、中性基底状態への遷移はnが増加してもピーク位置をあまり変えないが、励起状態への遷移は低エネルギー側へシフトする。(5)NH_3がNa_2^-の片方のNaに偏って統合する構造が安定であり、原子負イオンの場合と同様にNH_3数が増すとNa_2側から溶媒へ電子が移動し移動した電子は広がって分布する。(6)片方のNaに正電荷を持つNa-Na^+が溶媒和した状態への遷移が光電子分光で観測されるので、溶媒数の増加により第二バンド(^3Σ_u)に第三バンド(^3II_u)が近接してくる。このことは、アンモニアによる溶媒和Na原子の電子状態変化と対応し、矛盾無く説明できる。
|