Project/Area Number |
08230228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
池上 努 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80245612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 末廣 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (20087505)
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Project Period (FY) |
1996
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1996)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1996: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | アルゴンクラスター / 構造最適化 / 遷移状態 / Gradient Extremal Path / DIM法 / 反応経路 |
Research Abstract |
クラスターの電子基底状態における動力学を調べるため、まずAr^+_4のポテンシャル面の構造を詳しく調べた。Ar^+_4は、3量体イオンコアに溶媒原子が1つ配位した構造をとる。イオンコアと溶媒原子の相互作用には大きな異方性があるため、アルゴンクラスターイオンでは4量体ですでに複数の構造異性体が存在する。(中性クラスターでは7量体から。)これら異性体の間での構造異性化反応のほかに、イオンコアを構成する原子が溶媒原子と置き換わる反応(コア置換反応)も考えられる。コア置換反応は化学結合の組換えを含む点で、化学反応の単純なモデルとみなすことができる。特にこれらの反応の反応経路に着目して研究を行なった。 ポテンシャルエネルギーはDiatomics in Molecules法を用いて計算し、ポテンシャル関数の勾配とヘッシアンを解析的に求めて、停留点(安定構造と遷移状態)の構造を定めた。これらの停留点を結ぶ反応経路はgradient extremal pathを用いて計算した。 Ar^+_3+Arへの解離限界より低エネルギー側に、2つの安定構造と3つの遷移状態を見いだした。最安定構造では、3量体イオンコアのサイドに溶媒原子が配位しており、C_Sの対称をもつ。溶媒原子の配位位置によって二つの同等な構造があり、両者の間には3.2meVのポテンシャル障壁がある。もうひとつの安定構造は、イオンコアの分子軸上に溶媒原子が配位した直線構造をとり、最安定構造よりも3.2meVだけ、不安定である。直線の異性体と最安定構造は22meVのポテンシャル障壁で隔てられている。直線構造からはコア置換反応が可能であり、3.5meVのポテンシャル障壁を越えて別の直線構造に移る。最安定構造から直接、コア置換反応を起こす反応経路はみつからなかった。
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